2014年03月25日

英会話の難易度(3)



今回は英会話の難易度と会話の参加人数について考えてみます。


まず、次の質問について考えてみてください。


「1対1で話す場合」と「3人以上のグループの中で会話に参加する場合」とでは

どちらが英会話の難易度が高いでしょうか。



もちろん、グループのメンバー構成や

あなたが置かれた状況によってこの質問の答えは変わるかもしれません。

要するに、

It depends.

ということですね。


しかし、グループの中であなただけが非ネイティブ・スピーカーの場合は

グループでの会話のやり取りの方がはるかに難しいと言えます。


では、「グループでの会話」として考えられるシーンには

具体的にはどんなものがあるでしょうか?


例えば、

仕事では、商談・ミーティングやレセプション

プライベートでは、レストランでの食事やパーティ

などが挙げられるでしょう。


言うまでもありませんが、これらの場面は

レッスン生が大多数を占める

英会話のグループレッスンなどとは

全く次元が異なるものです。



では「グループでの会話」となると

難易度がアップするのはなぜでしょうか?

次の2つのことが考えられます。


まず第1に、

一般的に、3人以上で会話をしている時には、

あなたが話題の当人であったり、質問されていたりなど

どうしても会話の内容を理解しなければならない特別なポジションにない限り、

話者は自分の話を理解してくれる人に向けて話をするものです。

したがって、あなたがどんなに会話に積極的に参加しようとしたところで、

残念ながら会話に取り残されてしまう可能性は大きいと言えるでしょう。


でも、これはある意味仕方のないことです。

逆の立場になれば分かります。

日本人のあなたが、別の日本人と片言の日本語しかしゃべれない外国人

の3人で会話をしていたとします。


あなたがどうしても話したい話題があり、

しかもそれが多少込み入った話の場合、

どんな話し方になるでしょうか。


おそらくあなたは、

特にその外国人に分かってもらう必要がある場合を除いて、

もう一人の日本人に向かって話をするのではないでしょうか。


ゆっくり時間をかけても自分の話を理解してくれるかどうか分からない相手に対して

何かと神経を使って話をするよりも、

普通にコミュニケーションができる相手と普通に話したほうが、

会話をエンジョイできて、なおかつ、楽なはずだからです。



第2のポイントは、もっと深刻な問題です。

3人以上での会話となった場合には、

会話の内容があなたにとってなじみのない話題となる

可能性が大きいということです。


私が海外で生活してみて実際に感じたことですが、

非ネイティブ・スピーカーである私にとって

英語での会話を著しく困難にさせた要因は、

英語能力のなさや経験の少なさもさることながら

現地(私の場合はイギリス)のネイティブ・スピーカーが

無意識に共有しているような情報を持ち合わせていない


ということがあります(いわゆる情報の格差)。


私の体験談で考えてみましょう。

ある日、イギリス人3人と4人で夕食を囲んだ時のことです。

会話の流れからそれぞれの教育のバックグラウンドの話になりました。

そんな状況では、次のような情報格差が始めから生じている可能性があります。


イギリス(を含むヨーロッパやアメリカなど)では、

大学に進学する際の内申点として

Community Service(いわゆるボランティア活動のこと)が

必須であることをご存知でしょうか。

最近では、日本の学校でも

そのような制度が導入され始めているようですが、

少なくとも20年位前に教育を受けた私にとっては、

そのような考え方はなじみの薄いものでした。


また、イギリスでは、大学進学のために

GCSE:General Certificate of Secondary Education

と呼ばれる成績証明書が必要で、

この成績書の交付を受けるために

A-Levels Test

と呼ばれる試験を受けなければなりません。


こういった話題(特にA-Levels Test)は、

外国人には分かりにくい「内輪ネタ」なのですが、

実はイギリス人同士の間では、

毎年BBCのニュースで取り上げられるくらい日常的な話題なのです。


これを日本固有の話題に例えるならば「センター試験」のようなものでしょう。

(現在は、廃止の方向で検討されているようですが、、、)

どんなに流暢な日本語を話す外国人でも、

センター試験の満点が800点で毎年1月中旬に行われる云々・・・

などということを知っている人は極めて少ないと思います。

そんな外国人が、

日本人同士の日本語によるセンター試験の会話

について行くことは決して簡単なことではないはずです。


このように

いわば「アウェイ」の中で英会話について行く、

というのは並大抵のことではありません

でも

ネイティブ・スピーカーの会話に参加する

ということは、そういうことなのです!!



それでは、

このような困難な状況に対して

どのように対処していったらよいのでしょうか。




話が少々長くなりましたので、今日はこの辺で終わりにします。

次回の投稿で、グループに入って英会話する場合の対応方法

について考えてみたいと思います。




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posted by 薗田真澄 at 23:19| Comment(0) | 英会話術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月24日

英会話の難易度(2)


今回は、英会話の難易度と場面設定について考えたいと思います。


英語に限らず、

会話をするとき人は相手によって話し方を変えます。

例えば、大人が幼稚園児と話をするとき

ゆっくりはっきりとしゃべりますよね。


なぜだと思いますか?


それは、幼稚園児にでも分かるように話をしようと思うからです。


英会話でも同じことが言えると思います。

外国人だって相手に分かってもらおうとする場合には

自然とゆっくりとはっきりとした口調になるはずです。


このことを応用して、

英会話をスムーズに進めるために次の2つのことを考えてみてください。


1つ目。

会話が始まったらなるべく早く相手に自分の英会話のレベルを知ってもらうこと。

例えば、初対面で会話をする際、典型的な流れは以下のようになります。

(1)まず自己紹介をする

(2)互いに相手のことを聞き出す

(3)共通の話題を探りながら会話をキープ

(4)一通りの話題に触れたあとで本題に入る


ここで大事なのは、

(1)〜(3)で相手に自分のこと(出身・所属・趣味や近況など)を知ってもらうと同時に、

自分の英会話のレベルも知ってもらうということです。

特に注意が必要なのは、

(1)〜(3)は大抵どんな相手でも話す内容というものはパターン化しており、

場数を踏むごとに慣れてくるということです。

ここで思い切り背伸びをして「自分をよく見せよう」と頑張ると危険です。

そうすると相手は、

ゆっくり話すよりも普通に話すほうが楽ですから(逆の立場を考えてみてください)、

肝心な(4)の本題に入っても同じように話してくるはずです。

そして、いざ本題で

少し立ち入った難しい話や

自分の土俵以外での話題となった場合に、

あえなく撃沈

ということも少なくありません。

ですから、(1)〜(3)の段階で、

・相手のペースに巻き込まれずに自分のペースを守ってゆっくりとしゃべる

・なるべく自分にとって確実な「基礎英語」レベルの表現を使って話す

のがいいと思います。


ちまたでは、ネイティブの好む表現などをテーマとした会話文例集などが出回っています。

しかし、上級者でない限りそのようなものは必要なく、

むしろ、かえって自分の英会話能力が間違えて相手に伝わってしまう危険性があります。

そして、それはいずれ、しかも、より大事な場面でバレてしまうのです。


2つ目。

否が応でも相手がゆっくり話してくれる状況とそうでない状況があるということを理解すること。

さきほども触れましたが、

あなたが話をするネイティブ・スピーカーは、

よほどあなたのような非ネイティブ・スピーカーの話し相手をすることに慣れていたり、

世話好きで思いやりのある人でない限り、

わざわざゆっくり話しかけてくれるような人はいません。

特に、海外(英語が公用語となっている国)に住んでいる場合には、

当然ながら「英語が話せないのはあなたの責任」と考えている人もたくさんいます。


しかし、立場が変われば人の対応も変わります

例えば、これはイギリスに住んでいた私の経験上の話ですが、

郵便局の窓口やスーパーマーケットのレジなどで

1日に何百人と相手にしているような係員や店員は

ネイティブ・非ネイティブの分け隔てなく

ナチュラル・スピードで対応してきます。

まるで「それが嫌ならほかをあたってくれ」と言わんばかりです。


ところがそうでない人たちがいます。

私がロンドンに留学して間もない頃のことでした。

学生時代に学生寮を引っ越しのため運送会社に電話をする際、

きちんとコミュニケーションが取れるか不安いっぱいでした。

ところが結果は意外にも、

電話口の対応は非常に丁寧で分かりやすく話をしてくれました。

彼らは、仕事柄か海外留学生から依頼を受けることも多く、

1件当たりの取引金額も比較的多額であるため、

対応も自然と丁寧になるのだと思います。


このように、人は何かしらのインセンティブが働いた場合に

相手に対して丁寧に接するようになります。


では、どのような場合にそうしたインセンティブが働くのでしょうか?

そして、それを利用できないか考えてみてください。


例えば、私たち日本人の場合、

相手が日本の文化(伝統芸能や和食、マンガなど)に興味を持っていたとしたら、

時には相手から近寄ってきて優しく話しかけてくれたりすることがあります。


英会話を習得するうえで、

「実践の機会を少しでも多く増やす」

ということはとても大事なことですので、

このような状況を作り出すことはできないか、

常に考えておくことは有効だと思います。


次回は、

英会話の難易度と会話の参加人数との関係

について考えてみたいと思います。



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2014年03月20日

英会話の難易度

実践での英会話の聞き取りの難易度は、

どのような要素によって決まると思いますか?


多くの人は、

相手の話すスピード

と答えるかもしれません。


外国人と英語で話していて

相手の質問の意味が分からずに聞き返したところ、

今度はゆっくりと話してもらい、

やっと質問の意味が分かった、

というような経験をされた方は多いでしょう。


しかし、英会話の難易度を決めるのは

会話のスピードだけではありません。

たとえば、アクセント

いわゆる「なまり」と呼ばれるものです。

典型的な例の一つとして、

アメリカ英語とイギリス英語の違いがあります。

例えば、

See you later.

の「later」の発音は、

アメリカ英語なら「レィタァー」と発音しますが、

イギリス英語の場合「レイタ」と

日本のカタカナに近い発音をします。

日本の英語教育では、

イギリス英語よりもアメリカ英語を教材として使用される場合が

圧倒的に多いと思います。

私も留学するまではもっぱらアメリカ英語に慣れ親しんでいましたが、

イギリスへ留学する直前にはBBCが提供する

6 Minute English

などのポッドキャストなどで

イギリス英語に慣れることを特別に意識して

リスニングの練習をしました。



ところで、発音の違いは、

イギリス英語やアメリカ英語それぞれの中にも存在します。

日本でも関東と関西ではイントネーションや使う言葉が異なる場合があるように、

同じイギリスでもイングランド、ウェールズ、スコットランドといった地方ごとに

全く違う英語のように聞こえるし、

さらにイギリスの場合には出身階級(貴族出身か労働者階級出身か)によっても

発音が異なる場合があります。


また、私が留学していたロンドンの場合には

世界各国から移民が集まっています

ヨーロッパ各国からの移民やアフリカ系の黒人はもとより、

中国・シンガポール・香港などのアジア系の出身者には

留学目的で渡英して卒業後にそのままイギリスで就職する人がいたり、

植民地時代からの影響のためか、

インド・パキスタン系出身の人々が固まって住んでいる地域もあります。

こうした人種の多様性が、

英語の発音やアクセントの多様性にもつながっています


例えば、インド人が話す英語を体感したことがありますか?

彼らの話す英語は、独特のイントネーションで早口に聞こえるため、

初めは私も何を言っているのか全然分かりませんでした。



このように実践での英会話を考えたとき、

必ずしも相手の英語の発音が自分にとって馴染み深いものであるとは限らない

ということに注意する必要があります。

クセのある「なまり」のために

ひとつひとつの言葉自体が聞き取りにくいばかりなく、

相手の発音のことが気になり出すと

会話全体に集中できなくなるケースもあります。

あまり考えたくない現実かもしれませんが、

あなたが普段から英会話教材やニュースでリスニングの訓練をしている場合には

このことは特にあてはまるはずです。

標準的な英語になじむということはもちろん大切なことではあるのですが、

それは時に実践英語とは全く異なるものなのだ

ということを理解し、心の準備をしておくべきであると言えます。


次回は、

英会話の難易度と会話が行われる場所・場面との関係

について考えてみようと思います。


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