いま私はパリに住んでいます。パリにはサンタンヌ通りという日本食屋さんが並ぶ場所があり、お寿司・ラーメン・カレーライスから、いわゆる日本風の中華料理や定食まで大抵のものはそうしたレストランで食べることができます。私の勤務場所はサンタンヌに近いので、よくそこまで歩いて行って昼食を食べます。お昼時にはどこも賑わっており、複数人で食べに行くときは少し早目に行かないと席が取れないくらいです。この辺りにはオペラ座やルーヴル美術館などがあるので観光地としても有名ですが、意外なことに、どこもお客さんの半数以上がフランス人です。そして、みんな箸の使い方が上手なこと。フランス人の親日ぶりを感じさせる一面です。
フランスでは子供を連れて外食することを頻繁にしませんので、彼らはみな、大人になってから箸の使い方を覚えたのでしょう。その使い方に多少ぎこちなさがありながらも、スプーンやフォークなどを使わずに器用に日本食を楽しむ姿は、生まれてすぐに親から箸の使い方を教わり、当たり前のように毎日箸を使う私たち日本人からはどのように見えるでしょうか。
彼らに対して「人差し指が浮いている」とか「正しい持ち方はこうだ」とかいちいち指摘して矯正することはしないと思います。もちろん、本人から教えてほしいと言われればそのようにすることもあるでしょう。しかし、箸を使うことの目的は、食べ物を口に入れるということであり、その目的が達成していればあまり細かいことは気にしなくてもよいのです。逆に、橋の正しい使い方に気を取られてばかりいたら、日本食を美味しく楽しむどころか、苦痛になってしまいます。
英会話も箸の使い方と似たようなところがあります。英文法を気にし過ぎたり、小慣れた言い回しを意識し過ぎたりして、コミュニケーションの中身がおろそかになっていませんか?英語を普通に話す相手から見れば、正しい英文法や気の利いた言い回しなどあまり気にしてはいないでしょう(はっきり言ってしまえば「興味がない」)。むしろ、話し相手があなたに求めているのは、話の中身だと思います。私の経験上から付け加えるならば、話のテンポは大切です。テンポの悪い話し方は、相手のスムーズな理解や思考を妨げるからです。
そうはいっても、会話として成立するためには最低限の英文法は必要です。よく英会話上達の指南書などで「中学から高校1年くらいのレベルを勉強すればよい」などと書かれているのはそういうことだと思います。
実際に外国人と話す機会を作って、より多くの実践を積み独特のテンポを体得し、そうして初めて状況に応じたニュアンスの違う伝え方や洗練された表現を少しずつ覚えて行くというのが自然なプロセスだと思います。
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