2015年06月18日

ロンドンのある風景(2) 〜 ボリス・バイク


ロンドンの街を歩いていると、イギリスの大手銀行バークレイズ(Barclays)のロゴが入った自転車が並ぶ、こんな風景を目にします。

DSC_0712.jpg

これは貸自転車のドッキング・ステーションで、1時間以内に返却すれば1ポンド(約195円:投稿時現在)で借りることができます。

ロンドンの街は東京ほど大きくないので、市内を移動するには自転車は便利な交通手段です。チューブ(地下鉄)やバスを利用すると最低でも2ポンド(約390円:同上)はかかるのでコスト面でもリーズナブルです。

この貸自転車サービスは、現ロンドン市長のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)によって導入されたため、通称「ボリス・バイク(Boris bike)」と呼ばれています。同市長はMy 自転車で毎日通勤するほどの自転車愛好家で、サイクリングに関しては強い関心やこだわりを持っているようです。
Mayor’s vision for cycling in London(市長が考えるロンドン・サイクリングの展望)」の前書き(4頁目)の冒頭では、自転車がいかにコストや労力をかけずに様々な問題を解決するかを顔写真付きで熱く語っています。

こうした市長の熱い思いのもと、ロンドンでは現在1万台以上の「ボリス・バイク」が市内を往来しています。ウィキペディア情報によれば、この「ボリス・バイク」は、先だって2007年からパリで運用されていた「ヴェリブ」と呼ばれる同様のサービスを参考にして開発されたそうです。ちなみに、「ヴェリブ」はこんな感じです。言われてみれば似ていますね。

IMG_20150617_105031.jpg

借りた自転車は、どこのドッキング・ステーションに返却してもOKです。ただし、場所によってはすべての自転車が貸し出されていて競争率も激しいようです。

ところで、乗り終えた後の返却場所はすぐに見つかるのでしょうか。大丈夫です。ロンドン市のホームページによれば、市内に700カ所以上のドッキング・ステーションが存在し、300〜500メートルおきに見つかるそうです。もちろんウェブサイドで検索可能。

私はロンドンに1年半暮らしていましたが、残念ながら一度もボリス・バイクを使う機会がありませんでした。当時の友人から聞いた話によれば、普通のママチャリに見えるこの自転車はギアチェンジ機能を備えた「すぐれもの」で、また、使用料の支払いはクレジットカードで決済できると言っていました。

その一方で、イギリスの新聞記事などを読んでいると、この「ボリス・バイク」が巻き込まれた交通事故を報じるニュースを時おり目にし、その都度「ボリス・バイク」の是非・有り方が問われています。
例えばこんな感じです:
http://www.standard.co.uk/news/london/mayor-boris-johnson-warns-london-cyclists-against-taking-risky-decisions-after-fifth-rider-death-in-nine-days-8938505.html
(先日紹介したEvening Standardからの記事です。馴染みやすい内容で、比較的平易な英語で書かれていますので、英文を読み慣れていない人も是非挑戦してみて下さい)

便利な自転車も使い方次第では危険と隣り合わせ、というのは万国共通ですね。



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2015年06月10日

ギヴ・アンド・テイク

「英会話を上達させるには海外に住むのが一番手っ取り早い」

本当にそうでしょうか。

ロンドンで留学生として生活した私に言わせれば、
「それほど単純な話ではない」
という答えになります。

普通に考えれば、英語圏の海外で暮らせば必然的に英語に触れる機会が多くなります。街を歩けば目に入ってくるものはほとんど英語だし、お店ではいやでも英語でやり取りをしなければなりません。家に帰ってテレビをつければ英語の嵐です。インターネットだけは違いますが・・・

私が経験した場合のように学生寮で暮らせば、canteen(食堂)で外国人の仲間と話すケースも増えます。人によっては「タダで英会話を練習できる絶好のチャンス」と思うかもしれません。

ところが、あなたの「練習台」である相手は、お金を払って話し相手になってもらう先生ではありません。あなたの話を我慢して聞くインセンティブがお金でないとしたら何でしょうか?

特別な関係(例えば恋愛関係やビジネス上の取引関係など)でもない限り、おそらく相手はあなたとの会話から何か面白い(有益な)情報は得られないかな、と思っているのでしょう。

その証拠に、あなたが日本人だと分かれば、相手は
「アサクサってどんな所?」
「満員電車に乗客を押し込む係員がいるって本当?」
「デスノート面白いよね。ところで、日本人はマンガをどれくらい読むの?」
「トヨタのプリウスは環境に優しいね」
などと、興味津々で日本にまつわる話を振ってくるでしょう。

そこで、あなたが中途半端な受け答えをしたり、「実はあんまりよく知りません」みたいな反応をしたりしたら、どうなるでしょうか?相手はがっかりして「コイツとはこれ以上話す価値がない」と思うかもしれません。

逆に、どんなにあなたの話す英文法が滅茶苦茶で、発音が聞き取りづらくても、相手が関心を持って聞いた話に的確に答えようとすれば、相手は一生懸命あなたの話を聞こうとするに違いありません。そうしてさらなる会話のチャンスが生まれる訳です。

つまり、何らかのギヴ・アンド・テイクの関係が存在しないと会話は成立しないのです。

留学時代の私の友人の中に、知り合った当初はお世辞にも英語が上手だとは言えない人がいました。いちいち日本語から英語に変換して話すので非常にスローペースだし、発音も典型的なジャパニーズ・イングリッシュ。しかし、少年時代から彼がマンガをこよなく愛し、半ば「オタク化」していたお陰で、当時ナルトを愛読していた年下のインド人学生と意気投合しました。それ以降、彼は「センパイ、センパイ」と呼ばれて慕われ、行動を共にするようになったのです。その後、彼の英語力がメキメキと上達したことは言うまでもありません。

英会話の練習となると、文法や発音のマスターばかりに目が行ってしまいがちですが、こうした大事なポイントを見落としてはいけません。

幸いにも多くの外国人は日本人に対して好印象を持っており我々に対して勝手にいろいろと興味を抱いてくれます。その意味で、日本人であるというだけでラッキーであり、スタートラインでアドバンテージがあると言えます。それを有効に活用するためにも、自国の文化や特徴をよく理解して、英会話の機会へとつなげられるようにしましょう。



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ラベル:英語 英会話
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2015年06月03日

ロンドンのある風景(1)


シリーズ・コラム「ロンドンのある風景」では、私が体験した1年半のロンドンでの生活をもとに、観光用のサイトには書かれていないロンドンの一面を紹介したいと思います。

ロンドン(イギリス)を一言で表現するとしたら、私なら「大らか」です。

今でこそ厳しくなりつつあるようですが、イギリスは昔から外国からの移民を広く受け入れ続けてきました。大学院などの教育機関を一つとっても、私が通ったロースクールのように外国人学生(international students)向けのカリキュラムが用意されており、かつては学校を卒業しても職を見つけてそのままイギリスに住み着くという外国人が少なからずいたようです。また、大英博物館をはじめとする世界的に有名な美術館や博物館の多くは入場無料です。
こうした現象の裏には、イギリス人の「歴史を開拓した先駆者」、「世界を牽引するリーダー的存在」としてのプライドが感じられます。もっとも、皮肉にもそれが外国人からは「上から目線」と受け取られてしまうこともあるようなのですが。(おことわり:あくまでも個人的な意見です

美術館や博物館が無料であるのと同じくらい印象的であったのが、平日夕方に街頭で配られている新聞です。’Evening Standard’と呼ばれるこの夕刊紙は、無料で配布されているにもかかわらず、国内外のニュースから、文化・スポーツ・社説に至るまで40〜50ページの紙面で構成される充実ぶりで、’the guardian’、‘The Independent’、 ‘Daily Mail’といった有料紙顔負けの新聞です。Tube(イギリスでは地下鉄のことをこう呼びます)の駅前で夕方に配られているので、駅の中でみんなが読んでいる新聞といえば老若男女を問わず大抵’Evening Standard’です。

肝心の中身についてはどうかというと、私が通っていた大学の論文指導の先生は「’Evening Standard’は君たちが(ライティングの)お手本とするような新聞ではない。(洗練された表現が使われている)他の有料紙を購読しなさい」と言っていましたが、読み比べた感じではあまり遜色はないように個人的には思いました。

ウィキペディアで’Evening Standard’を調べてみると、180年以上の長い歴史があって無料で配布されるようになったのは2009年以降と書かれています(ただし、無料であるのはロンドン中心部のみ)。これによって、有料紙の各発行体が売り上げに大打撃を受けたことは想像に難くありません。そんな読者層のシェアに大きな変化をもたらした立役者は、地下鉄の車内のいたるところで読み捨てられ、今度は別の人がそれを拾って読む、というシーンを頻繁に目にします。もともと無料なのですから、日本でそうするのと違って「捨てる」とか「拾う」という行為は彼らにとって何の抵抗もないのでしょうね・・・。


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