2017年03月28日

6 Minute English(2017年3月23日分)- リスニングのポイント




今回の6 Minute EnglishのタイトルはThe rise of the emoji(絵文字の隆盛)です。
※著作権の関係上、音声とスクリプトは下記のBBCのサイトから入手してください。
http://www.bbc.co.uk/learningenglish/english/features/6-minute-english/ep-170323



いまやemoji(絵文字)はsushiやmangaなどと同じように英語界でメジャーとなった単語の一つのようです。一方、日本で発明されたこの便利な表記に似たものの中に顔文字というものがありますが、こちらはかなり古くから使われていたらしいです。これらはどうして広く世界的に使われるようになったのでしょうか。今回の6 Minute Englishは、いつもの通り2人のプレゼンターの小芝居をBGMにしながらこの謎にせまります。

それではLet’s try!



■目次
1. 聞き取りが難しい/注意したい個所はココだ!
2. 文法・構文解説
3. フレーズ解説
4. 発展課題



1. 聞き取りが難しい/注意したい個所はココだ!



“You know, I think we should clear one thing up before we go any further: what’s the difference between an emoticon and an emoji?”(ところで、先に進む前に一つはっきりさせた方がいいと思うんだけど。顔文字と絵文字の違いって何?)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 0’40”あたり)
clear ... upは「〜を片付ける、解決する、明らかにする

発音は「クリア ワン スィング アップ ビフォー」とクリアではなく、「クリアワンスィンガッビフォー」となっている。upが前後の単語に埋もれがちに発音すると早くしゃべれることに注意しながら真似してみる。


“It could be a simple, yellow, smiley face; or something like a dancing lady; or even a bowl of noodles…”(それはシンプルな黄色のスマイリーだったり、踊っている女性のようなものだったり、あるいは、ラーメンの丼だったり…)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 1’11”あたり)
ニールとダンの2人が顔文字と絵文字の違いについて説明しているところで、ダンが絵文字の例を列挙している。このセリフのように列挙の一つ一つがやや長い場合は、独特のイントネーションとなるのでダンがどのような言い方をしているか確認しておこう。


“Well, in fact, a witty speech Abraham Lincoln reprinted in a newspaper as far back as 1862 included a semi colon with a close brackets.”(あのさ、実はさかのぼること1862年の新聞にアブラハム・リンカーンの機知に富んだ演説が再掲載された時には、セミコロン+カッコ(閉じる)が使われていたんだ;))
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 3’50”あたり)
不定冠詞のaをゆっくり、または、強調して話す時は、「ア」ではなく「エイ」という発音になることをご存知だろうか?知らなかった人、自信がない人は音声を確認しておこう。


“A typo is a mistake in a written document, or a digital file or message.”(タイポは文書や、デジタルファイルまたはメッセージの書き間違いのことです。)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 5’47”あたり)
「デジタル ファイル オア メッセージ」ではなく「ディジタル ファイローメッセージ」となる。





2. 文法・構文解説



@仮定法過去

If I followed it with a sad face emoji, then…?”(もし僕がその後に悲しい顔の絵文字を続けたとしたら…?)
"Then I guess I’d know you hurt yourself. Poor you."(ケガをしたんだと分かるだろうね、おそらく。かわいそうに)

(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 3’06”あたり)
仮定法過去の条件節を使って疑問を投げかけ、文章の続きを回答として求めるという対話形式。似たような表現でWhat if ...というのがある。

e.g. What if I continued to smoke at the same pace as before?(もし僕がこれまでと同じペースでタバコを吸い続けたら...?)


A付帯状況のwith

“But if I followed it with a laughing emoji – the one with the tears coming out because I’m laughing so much?”(でももし僕が笑っている絵文字を続けたらーすごく笑ったから涙が出てるあの絵文字をね)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 3’12”あたり)
下線部分はいわゆる「付帯状況のwith」と呼ばれる。すなわち、

with + 名詞 + 副詞(句), 形容詞, 現在分詞, 過去分詞


という形で「〜を...の状態で」という意味になる。

e.g. He spoke with a pen in his mouth.(彼は口にペンをくわえて話をした)

Please don't leave the room with the door open.(ドアを開けたまま部屋を出ないでください)

She came over to me with her eyes shinning.(彼女は目を輝かせて私のところへ来た)

He was standing with his arms crossed.(彼は腕組みをして立っていた)


B関係副詞how

“We could also talk about how the way children interact with the internet.”(僕たちは、子供たちがどのようにインターネットと関わり合うかについて話すこともできるね。)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 4’52”あたり)
下線部は語順的にはthe way howの方がしっくり来るのだが、いずれにしてもhowまたはtha wayのどちらかは必要ないようだ(どちらを削除しても意味は変わらない)。


Cget ... across

“When I first travelled to Poland, I used a lot of non-verbal communication to get my message across.”(初めてポーランドに旅行した時、メッセージを伝えるために言葉以外の伝達手段をたくさん使ったな)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 5’01”あたり)
下線部は直訳的に「メッセージを渡る」と理解してしまうと意味不明である。get ... acrossで「〜を理解させる、伝達させる」というイディオムがある。...の部分にはmessageのほかにidea, meaningなどが入ることがある。

e.g. My brother is not very good at getting his ideas across.(私の弟は自分の考えを伝えるのがあまり得意ではない)




3. フレーズ解説



"Good point.”(いい点をついているね)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 0’48”あたり)
このフレーズは相手の質問や疑問が核心を突いている場合、鋭い指摘の場合、さらに転じて、答えにくい場合の前置きとして使用される。Good question.とも。


“A smiley face. Something you use in way too many of your emails!”(スマイリー・フェイスさ。メールですっげぇいっぱい使うやつ)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 1’00”あたり)
wayには名詞以外に副詞があり、very farはるかに」という意味で前置詞や副詞を修飾する。

e.g. She finished the race way ahead of the other swimmers.(彼女は他の競泳選手よりはるかに前方でゴールした)

way tooとするとtooを強めて「あまりに〜過ぎる」という意味になる。

e.g. This rope is way too short.(このロープはあまりに短かすぎる)

この表現は後半にもう一度出てくる。
Way too much!”(もうたくさんだよ!)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 4’56”あたり)



Increasingly, what we’re finding is that digital communication is taking over from certain aspects of face-to-face interaction.”(ますます私たちが目の当たりにしていることは、デジタル通信が対面式の交流のある側面に取って代わっているということである)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 1’35”あたり)
Increasinglyは「ますます」という意味である。したがって、必然的に時制は現在進行形や過去進行形となることが多いことを覚えておこう。

e.g. It is becoming increasingly clear that this problem will not be solved in a couple of days.(この問題は2〜3日では解決できないということがますます明らかになっている)


In the UK today, for example, adults spend 22 hours online on average each week.”(例えば現在の英国では、大人は毎週平均22時間をインターネットに費やしている)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 1’41”あたり)
この前の文章で「デジタル通信が対面式の交流のある側面に取って代わっている」ことの根拠について英国の統計的数値を例に使って説明している。このような場合、下線部分を一息に言って「これから英国を例にとって説明しますよ」というサインを送るのである。この独特の言い方を是非真似してみよう。あなたが日本のことを例に出して何かを説明したい時にこの表現が使えるかもしれない。


One of the reasons emojis are so interesting is that they really do enable us to express our emotional selves much more effectively.”(絵文字がとても興味深い理由の一つは、かなり効果的に自分の感情を表現することができるということである)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 1’48”あたり)
One of the reasons (...) is that ...理由を説明する時に使われる。ヴァリエーションとして、次のようなものがある。

One of the reasons for this is that ...(この理由の一つは...)
One of the reasons behind this is that ...(この理由の一つは...)


"That's not what I saw in your eyes!”(それは君の瞳の中に見えなかったな!)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 4’41”あたり)
That is what I ...That is not what I ...強調の一種。使い方の例として、相手が自分の言いたいことをだいたい言い当ててくれた場合は、次のように言ってみよう。

e.g. That's what I mean.(そういうことです)

That's what I wanted to say.(それが私の言いたかったことです)

この構文は少し後でもう一度出てくる。
That's what I thought until I broke my leg – after a clumsy opponent ran into me…”(それは脚を折るまではそう考えていたけどねーぶきっちょな相手チームの選手が僕に突っ込んでからは…)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 5’34”あたり)



Nicely done.”(お見事)
(出典元:3/23付 BBC 6 Minute English 4’45”あたり)
よく使われる表現であるWell done.と同じような意味である。知らなかった人は覚えてたまには違う表現も使ってみよう。




4. 発展課題



今回のテーマはemoji(絵文字)。その名が示す通り、絵文字は日本で発明されたものなのだろうという予測がつきますが、6 Minite Englishではそのことについては触れられていません 😭

そこで、今回の6 Minute Englishの元ネタと思われるBBCのラジオ番組を聞いてみましょう。9分30秒くらいから絵文字の起源に関する説明が簡単に行われています。

★BBCラジオ番組
Emoji: The Future of Language?(2017年2月27日 BBC Word of mouth


この番組では、6 Minute Englishでもインタビューが挿入されている英国の言語学者Vyv Evans(ヴィヴ・エヴァンス)氏がゲストに招かれ、「絵文字は言語の一種として考えることができるか」や「絵文字を子供たちにどのように教えていくべきか」などといった問題について、学者らしい視点から様々な統計や過去のエピソードを交えて一般人向けに分かり易く説明されています。

例えば、6 Minute Englishでも取り上げられた@emoticon(顔文字)の歴史(13分15秒くらい〜)、A「不思議の国のアリス(Alice in Wonderland)」の全ストーリーを絵文字に置き換えられた話(16分20秒くらい〜)、B各国の絵文字の使用傾向に関する統計(17分55秒くらい〜)、Cアップル社が銃の絵文字をリボルバー型の拳銃から水鉄砲に変更した話(21分50秒くらい〜)等々。

番組全体のボリュームは30分程度なので、 イギリスに留学を目指している人英語で教養のある話を聞いてみたい人は、どのくらい聞き取れるか是非チャレンジしてください。


さらに、上記のAとCのトピックについてさらに掘り下げて調べてみましょう。

A「不思議の国のアリス」を絵文字に翻訳


★著作物の概要と作者インタビュー
Author Translates All of 'Alice in Wonderland' into Emojis(2015年1月3日付 Creators)(990 Words)

絵文字で読む『不思議の国のアリス』(2015年8月5日付 VISUAL THINKING)


Cアップル社が銃などの絵文字を変更


★ニュースの内容
Apple replaces the pistol emoji with a water gun(2016年8月2日付 CNN Money)(384 Words)
ピストルの絵文字、水鉄砲に変更 アップル(2016年8月2日付 CNN.co.jp)


★どんな事件が背景になっているか
Brooklyn Teen Arrested for Emoji-Laden Threats Against NYPD(2015年1月23日付 New York Magzine)(230 Words)

★エヴァンス氏の解説
Can emojis really be used to make terror threats?(2015年2月2日付 the Gardian)(782 Words)


今回は以上です。

最後までお読みいただき有難うございました。お疲れ様でした。





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posted by 薗田真澄 at 12:00| Comment(0) | 6 Minute English | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月20日

6 Minute English(2017年3月16日分)- リスニングのポイント



sandwich.jpg

今回の6 Minute EnglishのタイトルはWhat your lunch says about you(ランチがあなたに関して物語ること)です。
※著作権の関係上、音声とスクリプトは下記のBBCのサイトから入手してください。
http://www.bbc.co.uk/learningenglish/english/features/6-minute-english/ep-170316



ランチと聞くとその軽快な英語の響きからおしゃれなレストランなどを連想する人もいるかもしれません。しかし、イギリスではランチに費やす時間は年を追うごとに少なくなっている上、毎日決まった食べ物を、そして大半の人はサンドイッチを食べているそうです。

こうした生活スタイルが意味することは何なのでしょうか?いつもの通り2人のプレゼンターの小芝居を聞きつつ、フードライターと哲学者のコメントをはさみながらこの疑問について考えています。

それではLet’s try!



■目次
1. 聞き取りが難しい個所はココだ!
2. 文法・構文解説
3. フレーズ解説
4. 発展課題



1. 聞き取りが難しい個所はココだ!



“Well, you’re not the only one – a survey from 2012 showed a third of Britons eat exactly the same thing for lunch – every day!”(まあ、君だけじゃないけど――2012年から始まった調査によると、英国人の3分の1がランチで全く同じものを食べるんだって――毎日!)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 0’47”あたり)
下線部分は「ユァ ノット ズィ オンリィ ワン」ではなく「ユノッズィオンリィワン」と聞こえる。油断しているとYou know the only one …と勘違いしてしまいそうが、これでは意味が通らなくなってしまう。
“You’re not …”と”You know …”は早口になると似ているように聞こえる(もちろん本当は全然違う)ということを覚えておこう。


“Well, it’s almost lunchtime so we’d better get on with our question, …”(さて、もうすぐランチタイムなのでクイズを片付けちゃったほうがいいね)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 0’58”あたり)
下線部は「ゲット オン ウィズ アワ クエスチョン」ではなく、「ゲットンウェザクェスチョン」と聞こえる。Onの後にwithが続くのは多少言いにくいのか、間に一拍おいている。ダンのこの独特の言い方を口に出して真似して、イギリス人が言いにくい部分をどのように克服しているのかをリズムで体感しよう。

“Experts from Cornell University say it leads to better team spirit if colleagues eat together.”(コーネル大学の専門家が、仲間と一緒に食事をすれば団結心の向上につながると言っています)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 3’41”あたり)
1つ目の下線部fromは、「専門家」「コーネル大学」に挟まれて超高速に発音されている。実際、この前置詞fromはあまり重要な情報を持っていない。聞こえなくても文法的に後から補えるものである。慣れれば無意識に頭が補ってくれるようになるだろう。

2つ目の下線部itは多少厄介だ。「イットゥ」の「イ」の部分が直前のsayに飲み込まれているうえに、「トゥ」は脱落しまっている。つまり「ッ」の部分しか残っていないのである。ただ、すぐ後にleadsといわゆる三単現のsが付いた形になっており、また、lead toはitやthatなどが主語にしてit leads to …とかthat leads to …となることが多いので、脱落した部分がitだと推測できる。言葉にするとくどい説明になるが、慣れれば自然に耳が反応するようになる。しつこいが、英語学習において耳と口は連動しているので、早く慣れたいのであれば実際に声に出してお手本の真似をしてみることをおすすめする。

これと似た現象が少し後に出てくる。
“Do you think it would be fair to describe your polo shirt as utilitarian?”(君のポロシャツをutilitarianといっても言い過ぎじゃないと思う?)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 4’56”あたり)
ここでもitの音がほぼ脱落しているのだが、後にwould be fair toと続いたら、経験則上ほぼ間違いなく無生物主語の構文であると推測できる。そうすれば、itが脱落していると瞬時に判断できる。


“Even better – why don’t we go travelling together – with the whole Learning English team?”(もっといいね――旅行に行かない?――Learning Englishの(制作)チームのみんなで)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 5’42”あたり)
don’tとweは続きにくいのでtが脱落して「ホワイドンウィゴー」と発音されている。why don’t we …やwhy don’t you …は提案や勧誘を意味する慣用表現。





2. 文法・構文解説



@近い将来を表す現在進行形

“So, Dan, what are you doing for lunch today?”(それで、ダン、今日ランチはどうするの?)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 0’22”あたり)
現在進行形は現在進行中の動作を表すほかに、近い将来を表す場合にも使われる。「is going to ...」のニュアンスに近く、それよりもさらに予定が組み込まれてしまっているイメージ。

なお、直後のダンのセリフにも現在進行形が出てくるので用法の違いを認識しておきたい。
“Ah Neil, are you asking me to join you?”(ニール、一緒にランチが食べないかと僕に聞いているの?)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 0’25”あたり)
こちらは、現にニールが尋ねていることを現在進行形を使って言い表している。


Ause to の否定形

“Two slices of bread with filling might be the most popular British lunch choice, but it didn’t use to be that way.”(具の入った2枚のパンが英国人にとって最もポピュラーな選択かもしれないけど、昔はそうではなかった)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 1’37”あたり)
”used to 不定詞”は過去の習慣・状態を表す句動詞。
We used to have lunch at the French restaurant, but now it has turned into an Italian.(我々はそのフレンチレストランでよくランチをしたものだが、いまはイタリアンに代わってしまった)
That Pachinko parlour used to be a cinema.(以前あのパチンコ店は映画館だった).

“used to 不定詞”の否定形や疑問形は助動詞”did”を使うが、”used to”の部分は原形に直しても直さなくてもよい。
What did you use [used] to sing at the karaoke box?(そのカラオケボックスでよく何を歌いましたか)

I didn’t use [used] to like musical, but now I do.(昔はミュージカルが好きではなかったのですが、いまは好きです)


BWhat + S + say (about XX) is that …

What lunch says about us is that we’re still very much stuck in this kind of quite functional, you know, efficient, utilitarian attitude of how we should construct our daily lives; and that for all our embrace of this great food culture and everything, we haven’t managed to make that an everyday thing – it remains something for the special occasions.”(我々についてランチが物語っていることは、いかにして日常生活を築いたらよいかということに関するこの手の全く以て機能的な、つまりその、効率的、実利的な考え方の中で我々がいまだに立ち往生しているということである。つまり、この偉大な食文化とかいったことすべてを受け入れているにもかかわらず、それを日常のこととして処理できていない――ランチは未だに特別な日にすることなのである)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 2’38”あたり)

哲学者らしく何やら難しい理屈を展開しているが、つまりは「英国人の中にはランチとは特別の日に食べる特別なものというイメージがあり、そのようなランチを食べることが難しい現実に毎日直面して、サンドウィッチのような「とりあえずの食べ物」で済ますことで自分を納得させているのだ。本来ならば、既存のイメージを取り払い、日常の一部としてランチを楽しめばいいのに、英国人はなんと不器用なのだろう」ということが言いたいのであろう。

これが妥当な英文解釈かどうかはさておき、ここで説明すべきポイントは、

What lunch says about us is that …

という構文である。これはある種の強調構文と言っていいだろう。ノーマルな文章なら、

Lunch says about us that …

と書くところであるが、このような構文を使うことによって「ランチが物語っていることは、○○である」という形で、伝えたい内容がハイライトさせている。この構文は意外とよく使われるので覚えておくと同時に、是非自分でも使えるようにしておきたい
e.g. What I would like to ask you (to do) is (to) turn off the light before you fall asleep.(私があなたにお願いしたいのは、寝る前に電気を消すことです)
  What I am trying to say is that he should apologize to me.(私が言おうとしているのは、彼は私に謝るべきだということです)





3. フレーズ解説



" Oh, a sandwich. Again! How dull.”(へぇ、サンドイッチね。またかい!代わり映えしないな〜)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 0’41”あたり)
againは「再び」という意味だが、このように単独で用いて何度も同じことが起きてうんざりした気持ちを表す時にも使う。ダンのうんざりした調子で言葉を発している様子を是非とも確認してほしい。


I can’t help feel all this is getting a little personal, Dan.”(ダン、これってちょっと個人的な話になってきているような気がしてならないんだけど)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 2’00”あたり)
I cannot help (but) do somethingはit is impossible to prevent or avoid somethingと同じ趣旨で「〜することを避けられない」「〜せざるを得ない」という意味。
e.g. I can’t help but wonder what I should do next.(ぼくは次に何をしたらいいのだろうかと思わずはいられない)


“There’s a sometimes very practical reason to eat a sandwich – like on a train. On a weekday in the office though, there’s no excuse.”(場合によってはサンドウィッチを食べるとても実際的な理由はあるよ――電車に乗っている時のようにね。でも平日にオフィスで(サンドウィッチを食べる)という場合には説明がつかない)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 2’10”あたり)
第1文と第2文は対比関係にある。したがって第2文のexcuseは第1文のpractical reasonとほぼ同じ意味・ニュアンスで使われている。


“It says something about our attitude to work and food in the UK.”(それは英国における仕事と食事に対する考え方に関して何らかのことを物語っているな)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 2’21”あたり)
ダンがここで用いたsomethingは単なるモノ・コトではなく、何か大切なポイント、伝えたいことがあるということを示唆している。そして、その後に続く哲学者ジュリアン・バッジニのコメントにヒントが隠されているということなのである。
e.g. There's something in what they say.(彼らが言うことに何らかの(考えるべき)ことがある)

直後のニールのセリフの中で出てくるsomethingとは言葉の重みが違うことを確認してほしい。
“And let’s teach one more word first – utilitarian. It describes something practical and useful, rather than attractive.”(それから始めにutilitarianというもう一つ単語を説明しておきましょう。これは魅力的というよりもむしろ実用的なものとか便利なものという意味です)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 2’34”あたり)
ここでニールは単に言葉の説明をしているだけなので、このsomethingは「(単なる)モノ・コト」という意味である。


“OK, I get the picture. ”(オーケー、分かったよ)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 3’48”あたり)
get the pictureは、それまでのやり取りや説明によってぼんやりとしていたイメージがはっきりしてくる、状況を理解するという意味。
e.g. Finally I am beginning to get the picture.(やっと状況が分かってきたよ)


“I think I’ve gone beyond peckish.”(腹減った所の話じゃないかも)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 4’26”あたり)
go beyond … は「〜を超えている」という意味。ここでは普通のpeckish(腹が減った)の状態を通り越して、非常に空腹であるということを強調している。通常はbeyondのあとは名詞が続くが、ここでは形容詞peckishを名詞的に使っているということなのであろう。


“… I had to replace him as a makeshift goalie.”(僕は即席ゴールキーパーとして彼の代役を務めなければならなかった。)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 4’39”あたり)
goalie.jpg
いわゆる受験英語では、replace A with Bで「AをBと取り換える」と習うことが多いが、ここではreplace A as Bで「Aに代わってBとなる(Bの役を務める)」という意味。
e.g. He was replaced as president by his son.(彼に代わって息子が社長になった)


“I prefer classic and timeless. Please.”(僕は「クラシックな」とか「時代を超越した」という(表現の)方が好きだな。そこんとこヨロシク)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 5’03”あたり)
pleaseはもともとあまり丁寧でないと言われているが、ここでのダンのように挑発的に使ったり、苛立ちを表現したりすることもできる。これに対してニールは、その挑発(というかおふざけ)には乗らず「この手のbanter(冗談)はもうお腹いっぱいだからそろそろ仲良くしようぜ」的なことで軽くいなしている。


Not this time, let’s stick with the metaphorical meaning …”(いや、今はいいや。比喩的な意味にこだわってみようよ)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 5’12”あたり)
「おふざけをやめて仲良くしよう」とニールが言っているのに、embraceの説明を兼ねて「じゃあ、さっきみたいにハグしてくれる?抱擁(embrace)してくれる?」と尋ねるダン。ここでニールは「Not this time」と遠回しに断り、あくまでも大人の対応に徹している。

断るときにNoばかりではなく、このような婉曲的な表現も覚えておくと便利。「また今度」と言われて次が保証されていないのは万国共通か?


It certainly would.”(たしかにそうだね)
(出典元:3/16付 BBC 6 Minute English 5’52”あたり)
これも相槌を打つ時の便利な表現。Yes, yesばかりではなく、状況に合わせてit isとかit would, it couldなど。「へぇ、そうなの?」はis it?とお尻を上げ気味に発する。ここではIt certainly would.のようにcertainlyが入っている割には気のない返事のように聞こえるのは私だけだろうか?(というか、ダンが提案する団体旅行の行先がなぜカンボジア??)





4. 発展課題



@The food Programme


BBC Radio 4では、毎週日曜昼に食生活や食文化に関する30分間のラジオ番組(The Food Programme)が放送されています。今回の6 Minute Englishは、このThe Food Programmeのうち2017年2月19日に放映された内容が元ネタになっていると思われます。

時間がある人はこの番組を聞いて、6 Minute Englishで挿入された2人のインタビューがいつ、どのような文脈で紹介されているかを確認してみましょう。
Food Programme - Let's Do Lunch

ダイジェスト版で内容を知りたい人はこちらへ↓↓↓
Radio 4 IN FOUR - How to liven up your lunchtime



Aイギリス人が昼食を食べる時間は25分


このデータは、BBCが行っているイギリスの食習慣に関するアンケート調査Good Food Nation Survey 2016の結果によるものです。

この調査結果についてイギリスの各種報道機関が様々なコメント付きで紹介していますが、以下のその一例をあげておきます。

Brits' lunch break has become a 25-minute al desko affair - here's how to make it more exciting(2017年2月25日付Mirror)(本文1,342 Words)

この記事では、ランチの時間は昨年より減少傾向にあること、半世紀前のランチの時間の過ごし方、昔の人は昼食をどのように捉えていたか、ランチの語源といったことからランチ休憩を取ることの法律的な意味にまで触れられ、最後はアジアの国々の昼食スタイルやオフィスで手軽に作れるランチのレシピなどが紹介されています。日本の「弁当(bento box)」もほんのわずかですが登場します。どのように紹介されているかチェックしてみましょう。


Good Food Nation Survey 2016に関連してBBCがリリースしている資料については、以下をご覧ください。
Good Food Nation Survey 2016

ここでは、昨年と比較して外食費が増加傾向であるとか、少なくとも週1回は一から料理を作る人が1割増加した、などといった食の実態・意識に関するもの(2ページ)から、食べ物とソーシャルメディアの関係性(4ページ)、食に関する好きな言葉(5ページ)など幅広いテーマの調査結果が発表されています。
fish and chips.jpg
私が特に興味を引いたのは、イギリス人に人気のメニュー・トップ5に、イギリスを象徴するフィッシュ・アンド・チップスがないこと(5ページ)、最近の流行の一つに発酵食品として昆布茶(Kombucha)が挙げられていること(7ページ)です。



Bビー・ウィルソン:フードライター


今回の6 Minute Englishのインタビューに登場するビー・ウィルソン(Bee Wilson)氏は、イギリスで活動するフードライターです。インタビューで彼女は、サンドウィッチのことを「元々はほかに食べるものがない時に食べるその場しのぎのランチだった」と話しています。実は、彼女はサンドウィッチに関する過去の文献や資料を調べて一冊の本を書き上げています。

Sandwich - A Global History(ビー・ウィルソン著「サンドウィッチ」)(紹介文198 Words)

また、別の書籍になりますが日本経済新聞の書評欄でもビー・ウィルソン氏の書籍が取り上げられています。
キッチンの歴史 ビー・ウィルソン著 テクノロジーでたどる食の変遷(2014年2月18日付日本経済新聞 ブックレビュー)

ビー・ウィルソンの本をアマゾンでチェックする



C世界各国のランチの過ごし方 〜 文化の違い


さて、ここまでいろいろとイギリスの食文化に関して見てきましたが、日本人やヨーロッパの他の国はどうなのでしょうか。

イギリス人のランチにかける時間が25分であることをニールとダンは嘆いていましたが、時間の短さで言えば日本人もそれほど変わらないようです。

「日常の食事」に関するアンケート調査レポート(NPO法人食の未来研究所HP)


逆にフランスやスペインでは少し事情が異なるみたいですね。

Why do the French take such long lunch breaks?(なぜフランス人はそんなに長くランチ休憩を取るのか:2016年4月28日付 The Local)(本文 596 Words)

La Siesta(don Quijote)(本文 478 Words)

cat-siesta.jpg

おまけ:スペインのシエスタについてはこんな賛否両論もあります。ご参考まで。
The end of the Spanish siesta?(2016年4月9日付 BBC Magazine)(本文 1,000Words)


今回は以上です。

最後までお読みいただき有難うございました。お疲れ様でした。





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posted by 薗田真澄 at 12:00| Comment(0) | 6 Minute English | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月11日

6 Minute English(2017年3月9日分)- リスニングのポイント



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今回の6 Minute EnglishのタイトルはMermaids - fact or fiction?(人魚‐実在するか、しないか?)です。
※著作権の関係上、音声とスクリプトは下記のBBCのサイトから入手してください。
http://www.bbc.co.uk/learningenglish/english/features/6-minute-english/ep-170309



人魚と言えば、子供のころに読み聞かされた「人魚姫」の話や、ディズニー映画「The Little Mermaid」などが真っ先に思い浮かびます。大半の人が本物の人魚など存在しないと思っているのではないでしょうか。

さて突然ですが、ここでクイズです。

今回のプレゼンターの一人であるキャサリンは人魚の存在を信じる派?それとも信じない派?

答えはプログラムの開始早々に明らかになります。実は英会話に限った話ではないかもしれませんが、話者のスタンスをいち早く理解することでその後のリスニングが格段に楽になる場合があります。要は「文脈をつかむ」ということです。

今回の話題が「人魚」であると思いきや、もしや今回の議論の流れは「信じるvs信じない」という二項対立で進んでいくのではないかと即座に察知し、それならプレゼンターのダンとキャサリンはどんなスタンス・意見なのだろうか?という疑問を念頭に入れながら2人のやり取りを聞いてみる。そんな「攻めのリスニング」を心掛けましょう。

それではLet’s try!



■目次
1. 聞き取りが難しい個所はココだ!
2. 文法・構文解説
3. フレーズ解説
4. 発展課題



1. 聞き取りが難しい個所はココだ!



Can you think of a more modern example?”(もっと最近の例を思いつくことができる?)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.2上段、1’24”あたり)
下線部はよほど頻繁に言い回される表現なのであろう。「キャン ユー θィンク オヴ ア」ではなく、お決まりの文句のように「キャニューθィンカヴァ」に聞こえる。これを口で練習して頭にインプットしておけば、次回このフレーズが出てきたらは今度はスムーズに聞き取れるようになるはず。


“Let Daniel Craig explain why he likes it so much.”(人魚がとっても好きな理由をダニエル・クレイグさんに説明してもらいます)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.3中段、3’24”あたり)
itの音はほとんど消滅して「ホワイヒーライクシッソーマッチ」と聞こえる。これはitの単語自体が短く、文脈的にも強調する必要もなし、さらに、itの語尾であるtの破裂音はsoにかぶせられて消滅するかわいそうな運命なのである。

同じように、
“ Yes and he says it’s the perfect getaway, …”(そうですね、それから彼はそれ(人魚になること)は完ぺきな現実逃避だと言っています)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.3下段、3’36”あたり)
下線部はかなり言いにくそうな言葉が並んでいて、ここでもit’sの音が消滅している。「ヒーセズィッザパーフェクト・・・」という感じ。この言いにくい部分をダンの気持ちになって苦労して何度も練習すると、このフレーズがもっと聞き取りやすくなる。


☆単語の発音


alleged”, “allegedly”(0’41”/3’01”/4’12”あたり)

番組の中では「アッジドゥ(/əˈledʒd/)」と「アレッドゥ(/əˈledʒɪd/)」という2通りの発音方法が紹介されているが、辞書を調べると前者しか出て来ない場合が多い。後者が紹介されているのは副詞allegedly(/əˈledʒɪdli/)の発音の影響を受けて形容詞でも同じように発音する人が多くなってきたからではないかと思われる。

実際の会話ではどちらでも通じると思うが、気になる人は今一度辞書で発音を確認してほしい。


cruelty”(3’16”/5’08”あたり)

ついついスペルに引っ張られてeをはっきり発音しがちだが、実際に注意して聞いてみると「クルーゥルティ(/ˈkruːəlti/)」である。最後が”-el”で終わる単語は、このようにeを弱く発音するか全く発音されないことがほとんどである(なお、形容詞cruel、副詞cruellyにも同じことが言える)。以下に例を挙げたので、気になる人は辞書などで発音を確認してほしい。

towel, jewel, quarrel, angel, chapel, model, novel, parcel, fuel, travel, panel, level

※ただし、hotelpersonnelなど一部の例外がある。これらの単語は"-el"の部分にアクセントが置かれているのでeを強く発音する

ここで問題になるのは発音よりもリスニングの方かもしれない。見たことも聞いたこともない単語が聞き取れないならまだしも、知っている単語なのに聞き取れないのはもったいないことなので、このことを知らなかった人は、是非この機会に認識を修正しておきたい。

余談になるが、「ジュエル」「エンジェル」「チャペル」「モデル」…、カタカナ英語は軒並み「エル」で終わっているが、興味深いことに「タオル」だけは本物の英語の発音に近い。最初にtowelをカタカナ英語に置き換えた人は、ネーティブ・スピーカーだったか、よほどリスニング能力が高かった日本人だったに違いない(笑)。





2. 文法・構文解説



@believeとbelieve inの違い/代名動詞

”I don’t believe in mermaids, but I think there’s a lot of people who do, so…”(私は人魚(の存在)を信じていないけど、信じている人もたくさんいると思うので・・・)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.1下段、0’47”あたり)
believeの2つの用法の違いを知っておきたい。

believe …「〜(物)が真実であると思う、〜(人)の言っていることが真実であると思う」
e.g. Tell me the truth as I want to believe you.(君のことを信じたいから本当のこと言って)

believe in … 「〜の存在を信じる」
He does not believe in God.(彼は神の存在を信じていない)

I think there’s a lot of people who doの"do"は代名動詞と呼ばれ、ここではbelieve in mermaidsを指し、同語の繰り返しを避けている。


A名詞の形容詞的用法

“Listen to Daniel Craig, five year merman, explain.”(5年間人魚をやっているダニエル・クレイグの説明を聞いて下さい)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.2下段、2’13”あたり)
two-year-old daughter, 6 minute Englishなど、時間を表す名詞が形容詞的に使われることがある。この場合、例のようにyearやminuteは複数形ではなく単数形となる。形容詞化した単語同士がハイフンがつながれる場合とそうでない場合があるが、どちらでも構わないようだ。


Bhave + 目的語 + do / doing

A lot of the mermaids we have attending here are professional mermaids.”(ここに参加させている多くの人魚がプロの人魚です)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.2下段、2’17”あたり)
関係代名詞の構文になっているので分かりにくいが、分解すると次のようになる。
We have a lot of the mermaids attending here.(我々がここに多くの人魚を参加させている)
They are professional mermaids(彼らはプロの人魚である).

have + 目的語(O) + do / doingで「Oに…させる/…させている」となる。なお、「Oに…させる」の方はイギリス英語ではあまり使われないらしいが、そこまで細かいことは気にしなくてもよいだろう。


Canything other than …

“But there is no reason, Dan, to believe that it was anything other than a hoax, …”(ダン、でもね、ウソだったとしか考えようがないのよ)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.3中段、3’07”あたり)
anything other than …は「〜以外の何か」ということなので「〜ではない」という否定の意味。さらにthere is no reasonという否定文があるので全体として二重否定となる。つまりここでは「それはウソ(hoax)だったのだ」ということを言おうとしている。


D譲歩の副詞節whetherの省略、仮定法過去、I wonder what XXX is like.

“Well, real or not, it could be (quite) fun to be a mermaid. I wonder what it would be like?”(そうね、本物かどうかは別にして人魚になるのは楽しいかもね。(人魚になるって)どんな感じかしら?)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.3中段、3’16”あたり)
(whether it is) real or notで「本物であろうが、本物でなかろうが」。itは少しまでにダンが話していたa photo of a real mermaidを指す。

it could be fun to be a mermaidのit is fun to …(〜するのは楽しい)の仮定法過去
音声を聞くと分かるが、キャサリンはこのcouldを強調して発音している。つまり、人魚が実在するかどうかの議論は棚上げにして、あくまでも仮定の話として人魚になったとしたら・・・と「人魚なんて実在しない」という自分のスタンスをしっかりガードしている。

I wonder what it would be like.のitは直前のto be mermaid(人魚になること)を指す。ここでも仮定法過去のwouldを使って「現実にはありえない話だけどどうなんだろう」というニュアンスで言っている。I wonder what XXX is like?で「XXXってどんな感じだろう」と覚えてしまおう。





3. フレーズ解説



"How would you like to be a mermaid?”(どんな人魚になってみたい?)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.1中段、0’20”あたり)
文法的に説明すれば“you would like to ...”(あなたは〜したい)が疑問形になって語順が入れ替わっている、ということだが、”how would you like to ...”で「どのように〜したいですか」という一つのフレーズとして覚えてしまった方がいいかもしれない。
e.g. How would you like to pay?(お支払いはいかがなさいますか?)


There you go! There’s no real evidence.”(ほらね!本当の証拠なんかないじゃない。)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.2中段、1’45”あたり)
Oxford Learner’s Dictionariesによれば、there you go (またはthere you are)には3つの用法がある。

1)相手が望むものを渡すときに使う⇒「はい、どうぞ」
2)相手に何かを示すときに使う⇒「そうそう」「ほらね」
3)典型的に起きたことや変えることのできない状況について話すときに使う⇒「ほらね」「やっぱりね」
さらに、againがついてthere you go againとなると「ほら、また始まった」的な批判めいた口調になる。

ここでは文脈から2)が最も適当と思われる。「人魚なんているはずがない」とキャサリンが言い放った後で、ダンと2人で人魚について互いに知っていることを話し合ってみると、大昔の伝説に出てくるだとか、アニメの話とか、おとぎ話で登場するとか・・・実在するという証拠など一つもないので、「ほらね」「やっぱりね」とキャサリンが言っているのである。当然だと言わんばかりに語尾を上げ気味に”There you go!”と言う彼女の言い方に注意してもう一度聞いてみよう。


“You’re telling me fish tales, Dan(大げさな話をしているでしょ、ダンったら)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.2中段、1’54”あたり)
fish taleは「大げさな話」。テーマが人魚なので、あえて魚を使った表現を選んでいる。

日本語でも文章の最後に句点がないと、ややぶっきらぼうな印象を与える場合があるが、英語でも同じなのだろうか?それともただ単にピリオドを打ち忘れたのか?そして「おいおい」というキャサリンの言い方にも注目。


C“Hang on now, that rings a bell!”(ちょっと待って、それ知ってる!)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.3上段、2’58”あたり)

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ring a bellは、「前に聞いたことがあって知っている」ということ。「ハイファ湾の人魚」とダンが言ったことに反応してキャサリンの頭の中でベルがチリン!と鳴った感じ。


“Well, that I can help with.”(そうだね、その疑問にはお役にたてるよ)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.3中段、3’22”あたり)
文脈から考えるとThat (is a question that) I can help with.くらいか。helpの後にヒトが来る場合は前置詞は不要だが、モノ・コトを後に続けて「〜を手伝う」とする場合はwithを伴う。
e.g. Please let me know if there is anything I can help with.(何か手伝えることがあれば連絡してください)


“... you have hit the nail on the head. Well done. ”(大正解。よくできました。)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.4上段、3’59”あたり)
hit the nail on the headは、直訳の「釘の頭を打つ」から転じて「まさにその通りである」「的を射ている」といった意味で使われる。釘がまっすぐにうまく打てた時のスッキリしたイメージとともに覚えてしまおう。
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spooky.”(なにそれキモい)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.4下段、3’27”あたり)
spookyはスラングで「薄気味悪い、不気味な、幽霊がかった」という意味。

”stumbled across”という動詞句(phrasal verb)を説明しているときに、キャサリンの「なんか珍しいことに出くわしたことある?」という質問に対し、ダンは「そうだね、ボルボーンでのパーティに向かってた時があって、完全に道に迷ったんだよね。そしたら、足元にちょうどロンドンの地図を見つけてさ。それでパーティに迷わずに行けたんだ」と答えている。

ダンの身に起きた神がかり的な出来事に、キャサリンが「へぇ、そんなこともあるんだね。話が出来すぎていてちょっと怖いね」という気持ちがspookyの一言で表されている。


What’s your idea of serene, Catherine?”(’serene’という言葉で思い浮かぶことは何?)
(出典元:3/9付 BBC 6 Minute English スクリプトp.4下段、5’28”あたり)
What’s your idea of …の直訳は「〜についてのあなたの考えは何か」ということ。ここでは、2人がsereneという単語の意味について話し合っており、ダンがキャサリンに対し「sereneという言葉に対してどんな印象をもっているか」と個人的な意見を聞いている。





4. 発展課題



@ダニエル・クレイグ??


今回の6 Minute Englishで挿入されているインタビューの相手はその名も「ダニエル・クレイグ」。映画「007」のジェームズ・ボンド役として有名すぎる「ダニエル・クレイグ」が最近は人魚役にも挑戦しているのかと、無理に納得しながらインタビューを聞いてみると、、、「こんなに高い声じゃなかった気がするけど」・・・やっぱり別人でした。

それなら、人魚歴5年の「ダニエル・クレイグ」さんはどんな人なのでしょうか。それを知るためには、以下のリンクに移動して今回の6 Minute Englishの元ネタと思われるBBCのラジオ番組(Outlook)を聞いてみて下さい。

My life as a male mermaid
※この番組の一部分が編集されて6 Minute Englishの中で挿入されています。どこの部分が編集されているのか探してみましょう。

彼は、人魚のコミュニティの存在を知って、自分の子供たちも通うプールで人魚の格好をして泳ぐことを始めました。そんな彼の姿を目にしたプールのスタッフや他の利用者の反応は?そして子供たちの反応は?当然ながら、必ずしもすべての人が好意的な目で見ていた訳ではありません。そんな中、彼は何を考え、なぜ人魚の格好をして泳ぎ続けるのでしょうか。



Aプロとして活躍する人魚姫


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ところで、6 Minute Englishの中で「プロの人魚がいる」という話が出てきていますが、以下のブログはカナダをベースに活躍するプロの人魚姫レイナ(Raina)のブログです。トップページの中段くらいにダニエル・クレイグも登場します。

人魚姫レイナのブログ:Fishy Business: My Life as a Professional Mermaid


レイナのラジオ・インタビューも聞いてみて下さい(BBCのOutlookより聞き取りやすいかも)

ラジオ・インタビュー:Real Life Mermaids(WGN RADIO)



B2012年にジンバブエの水資源相が発表した人魚目撃に関する事件の内容は?


今回の6 Minute Englishのクイズは「人魚姫の目撃証言で最も新しいものはいつか」というもので、答えは2012年にジンバブエで水資源相によって報告されたということでした。これに関する新聞記事をいくつか拾い読みしてみましょう。

★ちょっと目を疑いたくなるようなタイトルです。
Reason for Zimbabwe reservoir delays... mermaids have been hounding workers away! (2012年2月6日付Mail Online)

★こんな記事も見つかりました。折角ライナによって築かれた人魚姫の素敵なイメージが一気に崩壊!?
'Mermaid' Sightings in Zimbabwe Spark Debate Over Traditional Beliefs(2012年2月3日付VOA)

★現地政府もこの問題を何とかしようと必至でした。水資源大臣の発言は、6 Minute Englishでも聞き覚えのあるような内容・・・
Zimbabwe mermaids appeased by traditional beer ritual(2012年2月12日付Public Radio International)

★オーストラリアの放送局ABCの特集記事。人魚に捕まえられ人魚の世界で2年間生活した後に無事に生還したという心霊治療家のインタビューを収録。記事に対応した音声もあり。
No Myth - Scourge of mermaids in Zimbabwe(2012年4月29日付ABC)


C日本で有名な伝説上の生き物と言えば?


さて、ここまで人魚姫についてあれこれと知識を蓄えた所で、今度は自分の方からアウトプットしなければならない情報も仕入れておきましょう。

外国人から「日本にはどんな伝説上の生き物があるか?」「○○はどんな生き物か?」などと聞かれた時に簡潔に答えられるようにしておきましょう。というのも、このような歴史的な背景が多分に伴った質問については、共有情報が少ない相手に対して細かい話を分かりやすく回答することは至難の業です。また、相手がよほど詳しく特別な興味でも持っていない限り細かく説明してもすぐに飽きられてしまいます。したがって、ディテールにこだわるよりも、相手がザックリとイメージをつかめるような簡単な説明を頭の中で準備しておくのがベターです

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有名なものとしてすぐに思い浮かぶのは、河童天狗などがあるでしょう。手っ取り早い方法は、これらについてすでに英語になっている情報を参考にすることです。

その際に注意すべきことは、これらのソースが誰によって書かれているか、内容がいい加減なものでないかを確認しましょう。もちろん、日本語のソースに当たって自分で英語にしても構いません。

また、なるべく自分の知っている言葉に言い換えて内容をまとめるようにしましょう。そのために多少ニュアンスが変わってしまうのは仕方のないことです。むしろ、何かのソースから丸ごと引用すると人の言葉を借りて表現することになり、なかなか頭に定着しません。

また、テストではないのですべての情報を網羅する必要はなく、自分が伝えたい内容をできる範囲でアウトプットすればよいのです。どのみち相手はそのことについて門外漢なのですから。ただし、明らかに間違った情報だけは伝えないように注意しましょう。それを繰り返すといずれ誰からも信用されなくなります。

英語の説明がされているサイトの例を参考までに挙げておきます
★天狗:Tengu: The Japanese Demon That's Basically a Mini-God
★河童:Yokai.com - Kappa
★鬼:Yokai.com - Oni


今日はここまでです。お疲れ様でした。

おまけ:人魚と河童が登場する宮崎県延岡市のPR動画

クールダウンにどうぞ。






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posted by 薗田真澄 at 10:00| Comment(0) | 6 Minute English | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする