今回の6 Minute EnglishのタイトルはSighing(ため息)です。
※著作権の関係上、音声とスクリプトは下記のBBCのサイトから入手してください。
http://www.bbc.co.uk/learningenglish/english/features/6-minute-english/ep-170420
みなさんは「ため息」と聞くとどんなことを思い浮かべますか?ストレスが溜まっているとき、精神的に追い込まれているときのことをイメージするのは私だけではないと思います。実際に「ため息をつくと幸せが逃げる」なんて言う人もいるくらいネガティブなイメージが定着しているような気もしますが、世の中にはこの「ため息」について科学的に研究している人がいるみたいです。しかも、そこには意外な事実が隠されているのだとか・・・
それでは今回も役に立ちそうなtipsをみなさんにお届けします!
■目次
1. 聞き取りが難しい/注意したい個所はココだ!
2. 文法・構文解説
3. フレーズ解説
4. 発展課題
1. 聞き取りが難しい/注意したい個所はココだ!
“Now, frustration is what we feel when things aren’t going well, when things are annoying us and they don’t work.”(そうですね、frustrationとは物事が順調に行っていないときや、不快に感じるとき、うまく行かないときに感じるものです。イライラさせるようなときのことです)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English3’32”あたり)
下線部分はいずれも否定の省略形だが、「アーント」や「ドント」ではなく、「アーン」や「ドン」のように最後の"t"が消滅してしまっている。(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English3’32”あたり)
今回の音声は比較的ゆっくりなのでまだ聞き取り易いが、否定の省略形は注意を要する。特に、
canとcan't
wouldとwouldn't
などは、否定か肯定かの区別さえつかない場合も少なくない。実際の英会話では、文脈で判断するか、そうでなければ途中で会話をさえぎってでも聞き返しておく必要がある。肯定/否定の聞き取りを誤るとその後の内容把握に支障が出る可能性が大きいからである。
“This usually means switching it off and on again.”(この場合は普通、スイッチを切ってまた入れるということです)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 4’40”あたり)
下線部分は「スウィッチンギット オッファノ ナゲイン」といっている。it, off, and, onと短い単語が続くので、よくよく音声を聞いて舌をかまない様リズミカルに発音できるように真似しておきたい。意味上には"switching it off" and "switching it on" againだが、発音上はswitching itでわずかに間をおいて"off and on"をひとまとまりで言うのが正しい発音方法の一つのようだ。(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 4’40”あたり)
“Now – was that a real sigh – or just one to demonstrate the meaning?”(今のは本物のため息?それとも意味を理解してもらうための例としてやっただけ?)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 0’19”あたり)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 0’19”あたり)
“It’s because sighing can reset the lungs.”(ため息は肺をリセットさせることができるからだよ)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 1’49”あたり)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 1’49”あたり)
“I breathe a sigh of relief.”(私は安堵のため息をつくわね)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 2’59”あたり)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 2’59”あたり)
“We also had the word reflex. This is a physical action or reaction that you can’t control.”(reflexという単語もありました。これは自分でコントロールできない身体的行動や反応のことです)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 4’50”あたり)
注意しておきたい発音・アクセントについて説明する。(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 4’50”あたり)
demonstrateは、[démənstrèit]と最初を強く発音する。
resetは、[rìːsét]と[ríːsèt]のどちらもあるようだ。6 Minute Englishでは最初を強く発音する後者。
breatheは、[bríːð](ブリーズ)と発音する。名詞のbreath[bréθ](ブレス)と混同しないように注意。
reflexは、[ríːfleks]と最初を強く発音する。
reactionは、[riǽkʃən]とaを強く発音する。
これらは日本人にとって発音を間違えやすい単語だと思うので、繰り返し聞いて真似してしっかり耳と口になじませておく。
2. 文法・構文解説
@ 強調構文と付加疑問文
“And it’s not just humans that sigh, is it, Dan?”(ため息をつくのは人間だけじゃないわよね、ダン)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 0’32”あたり)
まずは強調構文をおさらいしておく。(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 0’32”あたり)
平常文:Just humans do not sigh.(人間だけがため息をつくのではない)
強調構文:It is not just humans that sigh.(ため息をつくのは人間だけではない)
次に付加疑問文は、カンマのあとに主文と反対の形(肯定なら否定、否定なら肯定)で付け加え「〜ですよね」というニュアンスを加える。つまり、
it is not ...という否定文なら、..., is it?
it is ...という肯定文なら、..., isn't it?
A ifのない仮定法過去
“... without sighing, these alveoli would collapse and we would die.”(・・・ため息をつかなかったとしたら、これらの肺胞はぺしゃんこになって我々は死んでしまうんだね。)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 2’18”あたり)
仮定法過去の構文だがif節がなく、代わりにwithoutがif節の役目を果たしている。if節を使って言い換えれば次のようになる。(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 2’18”あたり)
c.f. ... if we did not sigh, these alveoli would collapse and we would die.
なお、ここで仮定法過去が用いられているのは、通常は無意識にため息をついているので「ため息をしていなければ」という仮定自体が実際に起こらない想像上の話だからである。
B 関係代名詞の二重限定
“We had the phrase survival mechanism. Something we do without thinking that keeps us alive.”(survival mechanismという語句がありました。それは、考えずにしていて、生かし続けてくれるものです)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 4’20”あたり)
この文章を分かりやすく補うと次のようになる。(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 4’20”あたり)
We had the phrase survival mechanism (, which is) Something (that) we do without thinking that keeps us alive.
ここで、something以下には関係代名詞が2つぶら下がっており、どちらもsomethingを説明(修飾)している。つまり、
something (that) we do without thinking(考えずに我々がしていること)
something that keeps us alive(我々を生き続けさせるもの)
これらを考慮した上で、下線部分は「考えずにしていて、我々を生かし続けてくれるもの」という訳になる。
少し前に似たような文章があるが、全く違う構文なので注意しよう。
“And resignation is what we feel when we finally accept that something bad has happened, that we can’t change.”(そして甘受とは、何か悪いことが起きて、変えることができないということを最終的に受け入れる時に感じるものです)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 3’41”あたり)
これは、accept that S +V「〜ということを受け入れる」のthat節が2個ぶら下がっている。(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 3’41”あたり)
3. フレーズ解説
@ for educational purposes
"That one was just for educational purposes, of course, Dan. ”(さっきのため息は、'sigh'とはどういうものかをちょっと知ってもらうために決まってるじゃない、ダン )
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 0’23”あたり)
for ...(形容詞) purpose(s)またはfor the purpose of ... は「〜の目的で」「〜のために」「〜という意味で」。(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 0’23”あたり)
e.g. You are not allowed to use any photo on this website for commercial purposes.(本ウェブサイト上のいかなる写真も商用目的で使用することは許されない)
In this case, you can round a number for the purpose of convenience.(この場合、便宜上四捨五入しても構いません)
A when + 現在分詞(分詞構文)
“We often use this verb when talking about technology.”(テクノロジーに関する話をするときによくこの動詞を使います)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 1’55”あたり)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 1’55”あたり)
この文章は分詞構文だが、接続詞whenは省略されずに残っている。分詞構文を用いない形は以下の通りとなる。
We often use this verb when we talk about technology.
同様にwhileを用いる場合もよくある。
e.g. Please fasten your seat belt while seated.(着席中はシートベルトを締めてください)
You had better not talk on the phone while driving.(運転中に電話をしない方がよい)
B It means what you think it means.
“It means what you think it means – to sigh when you feel good that something bad has not happened – but it’s often used metaphorically.”(それはあなたが考えている通りの意味です。つまり、何か悪いことが起きなくて気分がいいときにため息をつくということですーでもよく比喩的に使われます)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 3"06”あたり)
下線部分のwhat以下は「それが意味するとあなたが考えていること」であり、下線部分を直訳すると「それが意味するとあなたが考えていることを、それは意味する」となり、つまり「それは貴方が考えているようなことを意味する」となる。(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 3"06”あたり)
実際の英会話ではこのように文法や構文を考えているヒマがないので、ひとかたまりのフレーズとして覚えておくとよい。
ちなみに、下線部分以降のto sigh以下は、例えば次のような単語を補わないと文法的には説明がつかないように感じる。
c.f. to sigh when you feel good (to know) that something bad has not happened
ただし、実際の英会話では仮にこの部分が文法的におかしいからといって致命的なコミュニケーション上の問題が発生しないことを知っておきたい。気にしすぎるとそのあとの文章が頭に入ってこなくなる恐れがある。
C the other day
“Now, I breathed a sigh of relief when I foundmy mobile phone the other day.”(そうそう、先日携帯電話が見つかったときはほっとしたわ)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 3"20”あたり)
the other dayは「先日」という意味で最近のことを指す。(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 3"20”あたり)
一方、these daysは「最近」「近頃」という意味で、一般的なのことを述べるときに使う。
e.g. These days, anyone on a train is doing netsurfing on the phone instead of reading.(最近では、ダン者の中では誰もが読書ではなく携帯電話でネットサーフィンをしている)
D I reckon (that)...
“Well, I said, I reckon they sigh about 40 times an hour.”(えーと、ネズミは1時間に40回くらいため息をつくと思うって言ったわ)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 4’05”あたり)
reckonは「考える」「思う」という意味で、thinkとほぼ同じ。会話で使われるイギリス英語である。(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English 4’05”あたり)
4. 発展課題
今回の6 Minute Englishに関連するBBCのラジオ番組と新聞記事をご紹介します。プラスアルファの英語学習に是非ともお役立てください。教養が深まればきっとあなたの英会話の幅も広がるはずです!!
@ ため息について考えるラジオ番組
★The Sigh(2016年12月21日付BBC Radio 4)
パキスタン系イギリス人で詩人のイムティアズ・ダーカー(Imtiaz Dharker)がプレゼンターを務め、「ため息」とは何かについて考える約30分間の番組。番組の中で4人の学者やピアニストが登場し、それぞれの専門分野に沿った形で「ため息」について語られています。6 Minute Englishの中で紹介されたリン・バーカー(Lynne Barker)女史もその1人で、22'00"あたりから登場します。
個人的には、20'05"あたりから始まる、クラシック音楽家のピーター・ヒル(Peter Hill)氏がビートルズのイエスタディについて語っている部分は面白かったので、時間があれば是非聞いてみて下さい。
また、当番組について紹介している新聞記事があるので、リスニング理解の一助として活用してください。
★What it's like to be a reindeer herder and other tales from the Arctic Circle(2016年12月10日付THE SPECTATOR)
A ため息の研究発表に関する記事
今回の6 Minute Englishの中で、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が発表したため息に関する研究成果の話が出てきます。
“Well, scientists from UCLA, that’s the University of California, Los Angeles, found that a sigh is a special kind of very deep breath that keeps the tiny sacs of air in our lungs, called alveoli, working properly.
”(それはその、ため息は肺胞と呼ばれる肺の中にある小さな空気の袋をきちんと機能させる特別な種類のとても深い呼吸だということを、UCLAつまりカリフォルニア大学ロサンゼルス校の科学者が 発見したんだ)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English2’03”あたり)
これに関する新聞記事がありますので読んでみてください。専門的な用語も出てきますが、研究結果の概要を知っているので流れはつかみやすいはずです。”(それはその、ため息は肺胞と呼ばれる肺の中にある小さな空気の袋をきちんと機能させる特別な種類のとても深い呼吸だということを、UCLAつまりカリフォルニア大学ロサンゼルス校の科学者が 発見したんだ)
(出典元:4/20付 BBC 6 Minute English2’03”あたり)
★A sigh's not just a sigh - it's a fundamental life-sustaining reflex(2016年2月8日付The Guardian)
ちなみに、この新聞記事のタイトルは映画「カサブランカ」で挿入されている「As time goes by」という曲の有名な一節をもじったものです。この歌は上で紹介したThe sighでも26分02秒くらいに登場します。欧米では"sigh"と言えばこの曲を想像する人も多いということなのでしょう。素敵な曲なのでぜひ聞いてみてください。
また、この映画をまだ見ていない人はチェックしてみてはいかがでしょうか。
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B ため息をつくと幸せが逃げる?
この言葉に疑問を投げかけている2つの記事を紹介します。一つは日本語、もう一つは英語ですが、それぞれアプローチの仕方が違っています。その違いを確認してみてください。
★ため息つくと「幸せが逃げる」? 実は体にいいんです(2015年7月1日付日経電子版)
★Sighing reduces physiological tension in anxiety-sensitive individuals, study finds(2016年8月3日付PsyPost)
今回は以上です。お疲れ様でした。
最後までお読みいただき有難うございました。
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