2017年05月31日

6 Minute English(2017年5月25日分)- リスニングのポイント



Bagna Cauda.jpg

今回の6 Minute EnglishのタイトルはCould you go vegan?(ビーガンになれますか?)です。
※著作権の関係上、音声とスクリプトは下記のBBCのサイトから入手してください。
http://www.bbc.co.uk/learningenglish/english/features/6-minute-english/ep-170525



ビーガンという言葉を聞いたことがありますか?ベジタリアンと似ているのですがちょっと違うようです。その違いは今回の6 Minute Englishを聞けば分かります。さらに、ある研究報告によると、世界中の人々がベーガンになることで様々な効果が期待できるとのことですが、話はそれほど単純ではないようです。一体どういうことでしょうか?

それでは今回も役に立ちそうなtipsをみなさんにお届けします!



■目次
1. 聞き取りが難しい/注意したい個所はココだ!
2. 文法・構文解説
3. フレーズ解説
4. ボキャブラリー・間違えやすい発音
5. 発展課題



1. 聞き取りが難しい/注意したい個所はココだ!


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“And we feel like there, you know, there are plenty of alternatives in this day and age. It's never been easier to be vegan."(それから、そうですね、今の時代は代わりになるものがたくさんあるように思うんです。今よりもベジタリアンになるのがたやすい時代はないですね)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 1’43”あたり)
2つの文章の間で息継ぎがないので全体として1つの文章のように聞こえる。しかも、2つ目の文章の形式主語で始まる部分It'sはほとんど聞き取れない。このように、2番目の文章の文頭があまり意味を持たない単語の場合に2つの文章がつながったように話されることがあるのでしっかりと耳になじませておこう。


"So, if it's all so simple – why don't we all go vegan tomorrow?" (では、本当にそんなに簡単なら、明日からみんなでベジタリアンになろうよ)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 3’33”あたり)
all soは「そんなに」という意味で、副詞allsimpleを強調する役割を担う。alsoと発音が似ているが別物であるということを頭に入れておこう。

vage-face01.jpg

“So you've got moral objections to smartphones?”(ということは、スマートフォンに対して道義的な反論があるの?)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 5’11”あたり)
この部分は音声とスクリプトが異なっていると思われる。念のため確認しておきたい。





2. 文法・構文解説


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@ 反語文

“Now, before we go much further, why don't we find out a bit more about exactly what it means to be vegan?”(さて、もっと先へ進む前に、ベジタリアンであるとは正確にはどういうことを意味するのかについてもう少し考えてみましょう)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 1’14”あたり)
下線部分は否定疑問文であり、直訳すると「なぜ我々は、ベジタリアンであることが正確には何を意味するかについてもう少し考えないのであろうか」となる。つまり、この文章は「考えない理由はないから考えましょう」というニュアンスである。

通常、自分に対して質問をするということはあまりないので、このようにWhy don't we ...で始まる否定疑問文は、反語としての意味合いが強くなり「〜しましょう」という提案・勧誘の意味を表すことが多い。

後半にもう1回出てくるので合わせて紹介しておく。
"So, if it's all so simple – why don't we all go vegan tomorrow?" (では、本当にそんなに簡単なら、あしたからみんなでベジタリアンになろうよ)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 3"33”あたり)


prohibition of eating.jpg

A 比較級

"And we feel like there, you know, there are plenty of alternatives in this day and age. It's never been easier to be vegan."(それから、そうですね、今の時代は代わりになるものがたくさんあるように思うんです。今よりもベジタリアンになるのがたやすい時代はなかったですね)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 1’43”あたり)
下線部分を文法的に解説するとポイントは3つある。
- Itは形式主語でto be veganを表す。
- It's been ...It has been ...の省略形である。
- It's never been easier to be vegan (than now)のようにカッコ部分が省略されている。


すぐ後でキャサリンが次のように言い換えている。
"... he feels that it's easier than ever before to become vegan ..." (ベジタリアンになることが今だかつてないほど簡単であると彼は感じています)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 2"01”あたり)
これは比較対象を入れ替えて表現しているだけで、直前のインタビューの内容と同じことを言っている。


B claimの用法、half of ... / the other half

"Now, that's human deaths. They claim that half of this figure would be because we no longer eat red meat, and the other half would be due to eating more healthy fruit and vegetables – as well as fewer people being overweight."(ここで、800万の死(=that)とは人間の死のことです。この数字の半分が赤身肉を食べないことにより、そして残りの半分はもっと健康的な果物や野菜を食べることによって実現されるーーしかも太り過ぎの人が少なくなるーーと彼らは主張します)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 3’07”あたり)
- claimの用法は前回の説明(6 Minute English(2017年5月18日分)- リスニングのポイント)参照。

- half of this figure would be because ..., the other half would be due to ...(半分は…により、もう半分は…による)という並列的な表現を確認しておこう。

humberger.jpg

C suggestの用法ほか

"They suggest that up to $1,000bn a year would be saved due to reduced healthcare costs and increased productivity at work - because fewer people would get sick."(医療費の減少や労働生産性の増加ーー病気になる人が少なくなるのでーーによって最大年間1兆ドルまで節約できるだろうと言っています)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 3’23”あたり)
- suggestは「提案する」という意味もあるが、個々では「示唆する」「ほのめかす」「間接的に述べる」という意味。

- up to ...「最大〜まで」という意味。

- $1,000bnとは1,000 billion dollarsのことで、つまりone trillion dollarsのこと。


D with+名詞+過去分詞ほか

"So these jobs would disappear. Now, with up to a third of the planet estimated to be arid – which means dry and unable to support crops - people living in these regions rely on livestock, so people for example like the Berbers in the Sahara region."(ということは、これらの仕事がなくなります。現在、地球上の3分の1までもがaridであるーーつまり乾燥していて作物を育てることができないーーと見られており、こうした乾燥地域で生活する人々は家畜に頼っているのです。例えばサハラ地域のベルベル人のように)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 3’46”あたり)
- Now以降の文章では、最初にwith+名詞+過去分詞という構文が出てくる。up to ...は前述の通り「最大〜まで」という意味。

- 接続詞であるsoがあるために分かりにくいが、so people ... 以降は、people living ...以降の具体例を提示している。


3. フレーズ解説


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@ fair enough

"That's fair enough then.”(それなら納得ね)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 5’18”あたり)
fairは「公平な」という意味もあるが、ここでは「極端でない」「もっともだ」「それもあり」といった意味合いに近い。

また、この例文のように形容詞や副詞の後にenoughを加えて、「十分に〜だ」と述べる独特の表現があることも覚えておこう。

e.g. Interestingly enough, the result of the experiment was different from what we had expected.(興味深いことに、実験結果は我々の予想とは異なるものだった)
Surprisingly enough, he was late for a meeting again.(驚いたことに、彼はまた会議に遅刻した)


A You've got me there

"You've got me there.”(その通り!)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 5’22”あたり)
この表現は「参った」「一本取られた」という意味もあるが、自分の考えていることと同じこと・近いことを相手が言った場合(良い意味でも、悪い意味でも)に使われる。可能性のある和訳としては「その通り」「なかなかいい所ついているね」など。

vage-face02.jpg

B ... to go

"So two more words to go - we have arid and livestock.”(それからあともう2つ単語がありますーーaridとlivestockです)
(出典元:5/25付 BBC 6 Minute English 5’31”あたり)
数詞+名詞+ to goは「あと○○個の〜がある、残っている」という意味。

陸上のトラック競技や自動車レースのテレビ中継などでXX laps to goと表示されているのを見たことがあるだろうか。これは「ゴールまであとXX周」という意味である。





4. ボキャブラリー・間違えやすい発音


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★ボキャブラリー
rear, 〜を育てる
nomadic, 遊牧の
dairy, 乳製品
wrap up, まとめる、締めくくる


★発音
vegan[víːgən] アメリカでは[védʒən]と発音する。日本では「ビーガン」が定着している模様
cruelty[krúːəlti] 「クルール」ではない(「エ」をはっきり発音しない)。
methane[méθein] 「メタン」ではない


vage-face03.jpg


5. 発展課題


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今回の6 Minute Englishの話題に関連した資料を集めました。お時間の許す限りお付き合い下さい。

@ 今回の6 Minute Englishの元ネタ

Why go vegan? (2017年4月24日付 BBC Radio 4 in four)
今回の6 Minute Englishで挿入された音声クリップは0'51"あたりから始まります


A オックスフォード大学の研究内容

(1) プレス・リリース
Veggie-based diets could save 8 million lives by 2050 and cut global warming (2017年3月22日付 University of Oxford HP)

(2) 報告書全文
Analysis and valuation of the health and climate change cobenefits of dietary change (Proceedings of National Academy of Sciences)

(3) 報道記事
Global adoption of veganism 'could save 8 million lives' (2016年3月22日付 Wired)


B Veganについて

(1) ベジタリアン(vegitarian)とビーガン(vegan)の違いは?
イギリス発祥ビーガンとは?完全菜食主義のメリットとデメリット (2017年1月4日付 女性の美学)

(2) 英国のビーガン団体
Vegan Society

(3) 日本の団体
NPO法人 日本ベジタリアン協会





今回は以上です。お疲れ様でした。

最後までお読みいただき有難うございました。



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posted by 薗田真澄 at 22:00| Comment(0) | 6 Minute English | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月22日

6 Minute English(2017年5月18日分)- リスニングのポイント



ichiisenshin.jpg

今回の6 Minute EnglishのタイトルはGoldfish, brains and phones(金魚、脳そして電話)です。
※著作権の関係上、音声とスクリプトは下記のBBCのサイトから入手してください。
http://www.bbc.co.uk/learningenglish/english/features/6-minute-english/ep-170518



今回の6 Minute Englishでは、「人間の集中力は低下の一途をたどり今や金魚にも劣る」という衝撃的な研究報告をめぐって議論が展開されます。マンガはいくらでも集中して読めるけれども、哲学の本は数行読むだけでも眠くなるというのは誰もが経験しているはず。それなのに「人間の集中力の持続時間は〇〇秒」などと簡単に一言で語れるものなのでしょうか?果たして議論の行方は??

それでは今回も役に立ちそうなtipsをみなさんにお届けします!



■目次
1. 聞き取りが難しい/注意したい個所はココだ!
2. 文法・構文解説
3. フレーズ解説
4. ボキャブラリー・間違えやすい発音
5. 発展課題



1. 聞き取りが難しい/注意したい個所はココだ!


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“Smartphones, the internet, social media – these all certainly do take up a lot of our attention. But how much?”(スマートフォン、インターネット、ソーシャルメディアーーこれらのものに多くの注意力が向いてしまっているのは確かだね。でも量にしたらどのくらいだろう)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 0’52”あたり)
下線部分は「ðィーズ オール」ではなく「ðィーズォー」と聞こえる。このallは「すべての〜」ではなく「全く」「すっかり」という文全体を強調する副詞である。また、その直後のdoは動詞takeをやはり強調する助動詞である。ということは、あってもなくても文章全体の意味はあまり変わらないalldoが加わることにより、我々が想定する聞き慣れた文章の型を外れるためリスニングが難しく感じるのである。これへの効果的な対処法は、自分がイメージする発音と実際に聞こえる発音の違いをはっきりと意識し、自分でも声に出すことである。


"I tend to be quite busy, but I know some people are really addicted to their mobile phones so I'm going to say around two and a half hours - that's answer 'b'."(私はかなり忙しい方なんだけど、携帯電話にかなりハマっている人もいるのから、選択肢bの約2時間半にするわ)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 1’10”あたり)
下線部分は「アイ テンド トゥ ビー」ではなく「アイ テントゥ ビー」と聞こえる。tendの最後のdtoの最初t連結を起こしている。tend to doで「〜する傾向にある」という意味で使われることがほとんどであるから、もうこれはそういうものとして頭の中にインプットしてしまった方がいいだろう。


“Now, the year 2000 was just before the boom in digital media and smartphones, so many think that they're to blame for all these distractions – now, distractions are things which take away our focus or attention.”(そうね、2000年という年はデジタルメディアやスマートフォンが流行するちょうど前だったから、多くの人がこうした注意散漫はすべてこのデジタルメディアやスマホのせいだと思っているのよね)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 1’31”あたり)
下線部分は「ゼイ アー トゥ ブレイム」ではなく「ゼァトゥブレィム」と一気に言い下している。これもS + be動詞 to blameで「Sが悪い」「Sのせいだ」という意味で熟語的に使われるので、一気に発音する場合はこのように聞こえるのだということを意識しながら声に出して練習しておこう。

kid with pc.jpg

And there's a phrase in English – we say 'to have the attention span of a goldfish'. ”(それからある英語のフレーズがあって「金魚ほどの集中力しかない」と言い方をします)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 1’55”あたり)
下線部分はAnotherのようにも聞こえるが、And there's a ...を超高速でしゃべるとそう聞こえるということなのだろう。是非聞き取りの参考にしたい。


More or Less asked Dr Gemma Briggs, a psychologist at the Open University, if human beings are less able to focus these days.”(最近人間は集中できなくなっているのかということについて、番組「More or Less」がオープン大学の心理学者 ジェマ・ブリッグス博士に質問しました)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 3'05”あたり)
More or Lessという言葉が固有名詞であることを分かるかどうかがリスニングの鍵となる。なお、More or LessがBBCのラジオ番組の名前であることは少しまで説明されている(2'23"くらい)

また、askedは[ǽskt]と発音しedが消滅してしまっていることに注意しよう。


“And what about this: the group they surveyed touched their mobiles over 2,600 times a day.”(それから、こんなのもあるよ:彼らが調査したグループは1日に2600回以上スマートフォンを触ったんだって)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 4’39”あたり)
下線部分のsurveyedの最後のdは、touchedの最初のtとつながり消滅していることを確認しておこう。


“It's probably more than that to be honest.”(正直たぶんそれ以上だね)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 4’51”あたり)
ここはアドリブではないかというくらい素のコメントが聞こえる。その他のナレーターのような話し方ではなく生の会話という感じがする。スクリプトを頭に入れた上でしっかりと理解しておこう。発声も忘れずにmore than thatまでは息継ぎをせず抑揚なくしゃべり、最後のto be honestを笑いながら言い放つ感じである。





2. 文法・構文解説


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@ 比較級


今回の6 Minute Englishでは比較級の構文が多数出現する。以下の9つの文章を参考にして、今回の話題の中でどのように使用されているかを確認しておこう。

“Now, one study says that – in fact, it claims the human attention span is now shorter than that of a goldfish.”(さて、ある研究でば人間の集中力は今や金魚よりも短いということが言われている、というか主張されています)

(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 0’42”あたり)
比較級の基本形である。that of a goldfishは「金魚のそれ」ということで、thatattention spanを指す。

stop watch.jpg

“That's one more than phone-obsessed humans with a mere eight seconds!”(金魚の集中力は、スマホにとりつかれてたった8秒しかない人間よりも1秒長いんだね!)

(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 1’51”あたり)
分量を比較する場合には比較級の直前に入れる。

e.g. She is three years younger than me.(彼女は私よりも3歳若い)
The U.S. is twety five times bigger than Japan.(アメリカは日本よりも25倍大きい)

“So – is it really true that humans are now even more easily distracted than fish?”(それで、今や人間は金魚よりもさらに気が散りやすいというのは本当に事実なの?)

(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 2’15”あたり)
比較級を強調する場合は、even, still, muchなどを用いる。

e.g. Your problem is even more difficult to solve than mine.(あなたの悩み事は私のよりもさらに解決が難しい)
My father is tall, but my brother is still taller.(父は背が高いが弟はさらに背が高い)
He looks much younger than he is.(彼は実際よりもずっと若く見える)

“So, are we humans in fact more easily distracted than before?”(さて、我々人間は実際のところ以前よりも気が散りやすくなっているのでしょうか?)

(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 3’00”あたり)
副詞を比較することもできる。(ここではeasily)

e.g. Bob runs faster than Tom.(ボブはトムより足が速い)

“So she says we're not necessarily more easily distracted. Instead, we may actually be better at switching our attention quickly between different tasks.”(ということで、必ずしも我々は注意力が散漫になっているという訳ではないと彼女は言っています。むしろ、実際には異なる作業の中で素早く注意を切り替えることが上手になっているのかもしれません)

(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 3’40”あたり)
goodの比較級はbetter、最上級はbest
badの比較級はworse、最上級はworst
many, muchの比較級はmore、最上級はmost
littleの比較級はless、最上級はleast

“She's really saying we can multitask better than before.”(以前よりもマルチタスクができているということを彼女はまさに言っています)

(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 3’50”あたり)
比較級 + than beforeで「以前よりも〜だ」

e.g. You look even prettier than before.(以前よりさらに可愛らしくみえるね)

“So – maybe our attention spans aren't getting shorter, we just choose to look at our phones a lot more.”(ということで、多分我々の集中時間が短くなっているのではなく、我々がただ単にもっといっぱいケータイを見るようになっているのです)

(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 4’11”あたり)
get + 比較級で「〜になる」

e.g. It's getting colder day by day.(日に日に寒くなってきている)

“It's probably more than that to be honest.”(正直(僕がスマホに触る回数は)たぶんそれ以上だね)

(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 4’51”あたり)
more than thatは「それ以上だ」という意味のほかに、「それだけじゃない」「それどころじゃない」「そんなもんじゃない」というニュアンスになることがある。

“And mine is definitely shorter than it used to be…”(そして私の(集中力)は昔に比べて間違いなく短くなっています)

(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 5’11”あたり)
比較級 + than + 主語 + used to beで「昔よりも〜だ」

e.g. My father has been milder than he used to be.(父は昔より丸くなった)

mediation.jpg


A not ... because ... 構文 (部分否定その1)

“But because someone's distracted by their smartphone or wanting to quickly Google something, it doesn't mean that they then don't have the ability to control and sustain their attention when they carry out another task.”(しかし、誰かがスマートフォンに気を取られたりすぐにグーグルで何かを検索したくなったからといって、その人たちが別の仕事をしながら集中力をコントロールしたり維持したりする能力がないということにはなりません)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 3’27”あたり)
kid with pc.jpg

becauseが含まれる否定文は注意が必要である。何を否定しているかを間違えないようにしたい。

例えば、文章の流れにつられて誤って次のように訳をするとチンプンカンプンになる。
× しかし、誰かがスマートフォンに気を取られたりすぐにグーグルで何かを検索したくなるので、その人たちが別の仕事をしながら集中力をコントロールしたり維持したりする能力がないということを意味しない

つまりこの否定文では、

... it means that they then don't have the ability to control ... their attention ... because someone's distracted by their smartphone ... (スマホに気を取られているという理由で彼らが集中力をコントロールする能力がないと意味する)

という因果関係を否定していると解釈しないと意味が通らないのである。

おさらいとして次の2つの文章を比較してほしい。
e.g. I can't eat anything, because I am sick.(病気なので何も食べられない)
I can't eat anything because I am good.(元気だからといって何か食べられているのではない⇒それ以外の理由で食事が出来ているということを暗に意味している)

厳密な文法上はコンマが入るかどうかで解釈が確定するのかもしれないが(詳細は文法書を見てほしい)、会話ではカンマはないので前後の文脈から判断するしかない。


B not necessarily ...(部分否定その2)

"So she says we're not necessarily more easily distracted."(ということで、必ずしも我々は注意力が散漫になっているという訳ではないと彼女は言っています)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 3’39”あたり)
この例文も部分否定である。necessarilyは「必然的に」「当然」「絶対」という意味で、この文章はこの当然性・必然性を否定している。つまり「〜だと断定はできない」ということ。

部分否定をおさらいしておこう。
e.g. He is not always late for the class.(いつも授業に遅れるという訳ではない)
これに対して「いつも遅れない」ということが言いたければ、否定文を使わずに
c.f. He is always in time for the class.
とするのが無難である。

e.g. All the students did not attend the class.(すべての生徒が授業に出席した訳ではない)
これに対して「すべての生徒が出席しなかった」と言いたければ、
c.f. None of the students attended the class.
とすればよい。


C so that ... 構文の変形

"Well, my attention span is not that short that I can't remember that I said two and a half hours.”(そうね、私の集中力はそれほど短くはないから2時間半と答えたことは覚えてるわ)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 4’23”あたり)
thatが3回も出てきて何だか分かりづらい文章だが、文法に沿って説明すると以下のようになる。

まず、1番目のthatの用法を説明する。
e.g. It's not that simple.(それほどシンプルじゃないよ)
のようにthatは形容詞の前に置かれてsoと同じような働きをすることがある。

次に、このthatsoに置き換えてみると、2番目のthatと合わせてso ... that 〜の構文(ただし否定文)が見えてくる。

つまり、この例文を直訳すると、
「私が2時間半といった事を思い出せないほど私の集中力は短い、という訳ではない」
ということになる。


D to不定詞の否定と動詞省略

"Do you touch your phone 2,600 times a day, Catherine? "(キャサリン、君は 1日に2600回もケータイを触る?)
"I try not to, what about you? ”(そうしないようにしているわ、あなたは?)

(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 4’50”あたり)
ここでのおさらいポイントは2つ。
- to不定詞を否定する場合はnot toとする
e.g. I decided not to participate the party.(パーティに出席しないことに決めた)

- 反復を避けるため、to不定詞以下が省略されている。
c.f. I try not to (touch my phone), ...





3. フレーズ解説


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@ 動詞claimの意味

"Now, one study says that – in fact, it claims the human attention span is now shorter than that of a goldfish.”(さて、ある研究でば人間の集中力は今や金魚よりも短いということが言われている、というか主張されています)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 0’42”あたり)
ここは日本語に訳すのが難しい部分である。その難しさを理解するには、まずclaimの正確な意味を理解する必要がある。

claimという単語をOxford Learner's Dictionariesで調べると
"to say that something is true although it has not been proved and other people may not believe it"(証明されたり、他の人が信じていないかもしれないが、あることが真実であると述べること)
(出典元:Oxford Learner's Dictionaries)
つまり、sayclaimも基本的に「何かを述べる」場合に用いられるが、sayが単に「言う」「述べる」といった中立的な意味であるのに対し、claimは「主張する」という意味合いが強くなる。

そこで、もう一度例文を見ると、キャサリンは、いったんone study says that ...と行った後で、... in fact, it claims ...(いや実はね、主張しているだけでみんなが納得している訳ではないんだけどね)と言い直している。

実際に、中盤でMore or LessというBBCの番組で(マイクロソフトが発表した)この研究内容を調査した結果、科学的証拠がないという結論を出したことが紹介されている(2'27”くらいから)。

このようにclaimという言葉には、sayと同じように「何かを述べる」ということを意味する動詞だが、単に「述べる」だけではなく「(証明されていないことを一方的に)主張する」という意味合いが含まれることを頭に入れておこう。なお、claimには日本語の「クレームする(苦情を言う)」というニュアンスはないので注意すること。「苦情を言う」はcomplainである。


A earlier

"And we mentioned goldfish earlier – goldfish reportedly have an attention span of nine seconds.”(そして、先ほど金魚の話をしました−−金魚は9秒間の集中力があるとされています)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 1’45”あたり)
ここでのearlierは、beforeと同じで「以前」「先ほど」という意味。この例文のようにmentionとの相性が良いようで、プレゼンテーションなどではよくお決まりの表現としてよく聞くフレーズである。

e.g. As I mentioned earlier, these figures are very important when we consider our strategy.(先ほども述べた通り、これらの数字は我々の戦略を考える際に非常に重要です)


B in the first place

"And secondly – the psychologist they spoke to said there are problems with the idea of measuring attention spans in the first place.”(そして2番目に、彼らがヒアリングした心理学者は、集中力を測るという考え方にそもそも問題があると言いました)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 2’43”あたり)
in the first placeは直訳すると「最初の場所で」となるが、要するに「最初の段階で」「そもそも」という意味である。

e.g. You made a wrong choice in the first place.(そもそも君は間違った選択をしている)
You don't understand that it is a cat and not a dog in the first place.(そもそもそれが犬ではなく猫であるということをあなたは理解していない)


C what about ...

"And what about this: the group they surveyed touched their mobiles over 2,600 times a day.”(それから、こんなのもあるよ:彼らが調査したグループは1日に2600回以上スマートフォンを触ったんだって)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 4’39”あたり)
what about ...?は相手の意見を求めて「〜についてはどう思いますか」という意味である。転じて「〜しませんか、〜するのはいかがですか」と提案・勧誘の趣旨でも使われる。how about ...?も同じ。

すぐ後にもう1回でてくるのでそちらも紹介しておく。
"Do you touch your phone 2,600 times a day, Catherine? " (キャサリン、君は 1日に2600回もケータイを触る?)
“I try not to, what about you?"(そうしないようにしているわ、あなたは?)

(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 4"47”あたり)
ここは、相手の質問に答えた上で、同じ質問を相手にしている場面。


D either way

"Now, I'm sure everyone wants to get back to touching their phones – or maybe they're even touching them now as they listen – but either way, let's have a review of today's phrases.”(さて、みなさんケータイを触りに戻りたいだろうと思いますがーーあるいはもしかしたら聞きながらもう触っているのかも知れませんがーーいずれにしても今日のフレーズをおさらいしましょう)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 4’55”あたり)
eitherは「いずれかの」という意味なので、either wayは副詞句として譲歩の意味合いが加わって「どちらにしても」「どちらにせよ」という意味になる。

e.g. You can go forwards or backwards. Either way, it is to make a decision that is important.(前進しても後退してもよい。いずれにせよ、大事なのは決断することだ)


E Appologies

"Sorry – I just got distracted there by a message on my phone. Apologies.”(ごめんーーちょっとケータイのメッセージに気を取られちゃって。ごめんよ)
(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 5’21”あたり)
Appologies.I'm sorry.と同じ。正式にはMy appologies.
I'm sorry... と同様、for以下で謝りたい内容を表すこともできる。必ず複数形にすることを忘れないようにしよう。

e.g. My apologies for not writing you sooner.(もっとはやく手紙を書かずにごめんなさい)

appologies.jpg




4. ボキャブラリー・間違えやすい発音


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★ボキャブラリー
stay 過去分詞,------------- 〜の状態のままでいる、〜の状態を保つ
on average,---------------- 平均して
addicted to ...,----------- 〜にはまっている、〜の中毒である
take away,----------------- 持ち去る、奪い去る
reportedly,---------------- 伝えられるところによれば、〜と伝えられている(=it is reported that ...)
get a bad press,----------- (報道で)たたかれる
in other words,------------ すなわち、言い換えれば
in recent years,----------- 近年は
be better at ...,---------- 〜がより上手である
to be honest,-------------- 正直なところ
at once,------------------- 一度に、同時に
all the way through ...,--- 〜の最初から最後まで


★発音
length[leŋθ]------------- レングθではなくレンθのように聞こえることがある
asked[ǽskt]---------------「アスクド」ではない





5. 発展課題


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今回の6 Minute Englishとそのテーマとなったattention spans(集中力の持続時間)について資料を集めてみました。6 Minute Englishの内容だけで済ませてしまうのはあまりにもったいない話題なので、お時間の許す限りお付き合い下さい。

@ 今回の6 Minute Englishの元ネタ


The Attention Span of a Goldfish (2017年3月10日付 More or Less BBC Radio 4)
9分程度のラジオ番組です。6 Minute Englishでも紹介されたジェマ・ブリッグス博士のコメントも収録されています(5'04"くらい)

Busting the attention span myth (2017年3月10日付 BBC NEWS)
上記番組の解説記事です。聞き取りの参考にどうぞ。



A 人間の集中時間が減少したことを指摘するMicrosoftの研究報告


(1) ニュース記事
You Now Have a Shorter Attention Span Than a Goldfish (2015年5月14日付 Time)

Humans have shorter attention span than goldfish, thanks to smartphones (2015年5月15日付 The Telegraph)

Do You Have A Lower Attention Span Than A Goldfish? (IFL Science)


(2) Microsoftが発表した報告書
Attention spans (2015年3月10日付 Consumer Insights, Microsoft Canada)




B 携帯電話の使用に関する調査結果


今回の6 Minute Englishのクイズの答えを発表するときのニールとキャサリンは以下の通りです。
"Which reminds me today's question. I asked you how long on average we spend looking at our phones, and you said?”(君のおかげで今日のクイズのことを思い出したよ。ケータイを見るのに平均してどのくらい時間をかけているのかと質問したら君はなんて言ったっけ?)

"Well, my attention span is not that short that I can't remember that I said two and a half hours.”(そうね、私の集中力はそれほど短くはないから2時間半と答えたことは覚えてるわ)

"And the answer – if you believe the research – is 2.42 hours per day so, pretty good guess there, Catherine.”(それで答えはーー君が研究結果を信じるならーー1日2.42時間だから、とってもナイスな予想だね、キャサリン)

"Thank you.”(ありがとう)

"That comes from Chicago-based research firm Dscout. And what about this: the group they surveyed touched their mobiles over 2,600 times a day.”(これはシカゴにあるDscoutという調査会社が出している数字だよ。それから、こんなのもあるよ:彼らが調査したグループは1日に2600回以上スマートフォンを触ったんだって)

(出典元:5/18付 BBC 6 Minute English 4’16”〜4’47”あたり)

ここで登場するDscout社の調査報告は以下の通りです。
(1) ニュース記事
We touch our phones 2,617 times a day, says study (Network World)

Are YOU obsessed with your phone? Researchers reveal addicts touch their handset over 5,400 times a DAY (2016年6月27日付 Daily Mail)

(2) Dscout社のサイトから
Putting a Finger on Our Phone Obsession(2016年6月16日付 Dscout HPより)





今回は以上です。お疲れ様でした。

最後までお読みいただき有難うございました。



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posted by 薗田真澄 at 07:00| Comment(0) | 6 Minute English | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月16日

例文検索式 単語暗記法〜プラスアルファのテクニック



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今回は英単語を覚えなければならないのにどうもやる気が起きないという人のために、少し変わった暗記法をご紹介します。お時間が許す限りおつき合いください。



■目次
1. どうしても英単語が覚えられない
2. ネット上から例文を拾ってくる
3. フレーズ解説
4. 例文をもっと探してみよう
5. 発展課題
6. ネット検索の特徴を利用した単語暗記法
7. まとめ



1. どうしても英単語が覚えられない



ボキャブラリーを強化するため英単語集を買い、「1日○○個」という目標を立てて英単語を覚え始める・・・英語の上達したいと思う人なら誰もが通る道だと思います。

何度もノートに書いたり、語呂を考えたり、絵をかいたり、語源を考えたり・・・覚え方は人それぞれだと思いますが、どうしても覚えられない単語ってありますよね。

そんなときに役立つとっておきの方法をご紹介します。それは、

グーグルなどの検索サイトをフル活用する

という方法です(名付けて「例文検索式 単語暗記法」としちゃいます)。





2. ネット上から例文を拾ってくる



もし、あなたがcajole(〜を甘い言葉でだます) という単語に初めて出合ったとします。
この単語をどうしても覚えたいと思ったらどうしますか。

いろいろな方法があると思います。

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ノートに繰り返し書く・・・単調な作業でしんどい?

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絵を描いてビジュアルで覚える・・・絵を描くのが得意でない人には無理?

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語呂合わせを考える・・・そんなに簡単に思い浮かばない?


それならば、ただ無機質にアルファベットが並んでいるだけのこのcajoleという単語について調べてみませんか。「調べる」といっても辞書で調べるのではないのでご安心ください。インターネットで調べるのです。

初対面の人と会った時を考えてみて下さい。

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プロフィールが書かれた書類に目を通すだけよりも、実際にその人とひと言ふた言あいさつを交わし、あわよくば相手の素性を聞き出せた方が後で記憶に残り易いですよね。

英単語だって、単なるアルファベットの羅列として覚えるよりも、どのような状況でどんな風にして使われているかといった付属の情報がたくさんあった方がきっと覚えやすいはずです。





3. 単語集に出ている例文で十分?



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通常、市販の英単語集には英単語や日本語の意味とともにその単語を使用した例文が含まれています。例えばジャパン・タイムズ社から出ている「単熟語EX(英検1級)」のcajoleという単語の説明として次のような例文が掲載されています。

They cajoled the official into accepting bribes.(彼らはその役人をおだててわいろを受け取らせた)
(出典元:単熟語EX(英検1級)ジャパン・タイムズ社)

この例文を見て、「なるほどこういう風に使われるのだな」と思うわけですよね。確かに有り難い説明です。

でも、他にももっと例文を見てみたいと思いませんか?

相手のことをよく知るためには、相手に対して興味を膨らませることが大切なのです。

そこで、cajoleという単語が、実際にどのような場面で使われているのかを調べるため、google検索で「cajole bbe news」 と入力してみます。

すると、次のリンクが上位検索されました。

EU 'not in hostile mood' as Brexit talks beckon, says Juncker(2017年3月17日付 BBC NEWS)

タイトルにBrexit(イギリスのEU離脱)という言葉が出てきます。このホットなトピックのニュースのどんな文脈でcajoleという言葉が出てくるのでしょう。

記事を最初から最後までスキミング(Skimming: 流し読み)します。一見して見当たらない時はブラウザの検索機能を使いましょう。

すると、こんな文脈で使われていました。

"Now, does that refer to talk of the UK aiming to cosy up to individual EU countries (like the Baltic nations with promises of security co-operation) to cajole them into pressing for a good trade deal for Britain?"(さて、それはイギリスの交渉が(安全保障上の協力関係を持つバルト三国と同様に)EU各国と個別に親しくし、甘い言葉で自分に有利な取引条件を強要しようと企んでいるということを意味するのだろうか)
(出典元:2017年3月17日付 BBC NEWS

個人的な感想ですが、私はこれを読んで中東問題を引き起こしたと言われるイギリスの「三枚舌外交」を連想し、

イギリスのずる賢さ=cajole

と関連付けて考えるようにしてみました。

また、最初の例文と合わせて考えると、cajoleという単語はinto doingという組み合わせと相性がいいのだろう、という推測がつきます。

このように、cajoleという単語を検索する過程で色々なことを考えることにより、その単語を思い出すためのヒントが生み出されている訳です。

ちまたで紹介されているオーソドックスな英単語記憶法と比べて例文検索式 単語暗記法が最も優れている点は、

生きた文脈の中で(しかもうまくすれば最近のホットな話題に関連付けて)新しい単語に親しむことができる

という所です。

この方法をやったからといって複雑なスペルや発音を魔法のように覚えられるわけではありませんが、実際に使われている現場にふれることで単に単語帳とにらめっこするだけでは得られない発見があるはずです。

さらに、気に入った例文を自らの手で探し出すことに成功すれば、その例文に愛着が湧くので単語も記憶に残りやすくなります。

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4. 例文をもっと探してみよう



インターネット検索で得られた結果をもう少し紹介しましょう。

韓国初の女性大統領がスキャンダルで弾劾されたことは記憶に新しい事件ですが、この話題に関連してCNNのニュースでcajoleという言葉が使われました。

政治の裏でお金が動いた疑いが持たれているドロドロした世界の話ですから、「甘い言葉でだます」という意味のcajoleという言葉が使われるにはいかにもおあつらえむきですね。

では早速その部分を引用してみましょう。

"Park's main crime was that she ran one of the world's wealthiest nations based on the advice of a cult brat, who had duped her. Choi touted her closeness to Park to cajole Korea's business elite (including Samsung heir Lee Jae-yong, who was arrested in February) to donate money to dubious charities in exchange for implied presidential favors."
(パク氏の主たる罪は、彼女をだましたカルト集団の助言に基づいて世界で最も裕福な国の1つを治めたということである。チェ氏はパク氏と親しいことを引き合いに出し、大統領にひいきにしてもらえることを暗ににおわせながら韓国実業界のエリート(2月に逮捕されたサムソン後継者のイ・ジェヨンを含む)をだまし、怪しげな慈善団体に献金させた)

(出典元:2017年3月16日付 CNN

ここで使われている単語にはやや難易度の高いものが混ざっていますが、一時連日のようにニュースをにぎわせた話ですから、大雑把に読んでもcajoleの使われ方の雰囲気がつかめるはずです。

最初の例文と合わせて考えてみると、「わいろ」や「お金」といった言葉と相性がいいのかもしれません。





5. 例文をもっともっと探してみよう



折角なのでもう一つ紹介します。

今度はイギリス・ガーディアン紙に掲載された日本に関連した話題の記事です。ご存知の方もいるかもしれませんが、ログバーという日本のハイテク企業が開発したウェアラブル翻訳デバイス「イリー(illi)」のPR動画が「日本の女性をバカにしている」「セクハラだ」などとたたかれました。これに関する話題の中で、cajoleという言葉が登場しています。

"The video features “Dean”, a British man who, armed with his Ili, attempts to cajole seemingly random women on the streets of Tokyo into kissing him after he has demonstrated his device. At one point, he tells a reluctant woman that kissing strangers is “very normal” in the UK. The woman replies: “No, this is Japan, Japan, Japan!”"
(そのビデオは「ディーン」という英国人を出演させ、イリーを持った彼が、東京の街頭でランダムに突撃したと思われる女性に、このイリーを実演したながら甘い言葉で誘導してキスをせがむ。ある場面では、彼が乗り気でない女性に、英国では知らない人にキスをするのは「とても普通」だと言っている。その女性は「いや、ここは日本だから、日本、日本」と答える)

(出典元:2016年1月11日付 The Guardian

この話を読んで不愉快に思われた方には申し訳ないのですが、人によっては頭の中でcajoleという言葉が「男性が甘い言葉で女性をそそのかす」という場面にリンクして記憶に定着つきやすくなるかもしれません。





6. ネット検索の特徴を利用した単語記憶法



このようにウェブ上にあふれている大量の情報の中から、これから覚えたい英単語が使われている例文を拾ってみることは決して無駄なことではありません。

英単語にもよりますが、基本的には例文がいくらでも出てくるはずですし、たまたま拾った情報が気に入らなければ、次をあたって自分にフィットするものが見つかるまで探し続けることが出来ます。

いわばネットサーフィンをしながら単語を覚えるようなものです。





7. まとめ



いかがでしょうか。これだけcajoleという言葉に焦点を当てて様々な角度から観察してみれば、この単語の持つ特徴や性質というものが肌で感じることが出来るようになり、記憶にも残り易くなるのではないでしょうか。
むろん、一回で完璧に覚えることは難しいでしょうから、これらの例文がいつでも参照できるようにリンクをメモしておくというような工夫も考えられるでしょう。


---まとめ---
- インターネットという生の現場で検索することにより、その英単語が実際に世の中でどのような場面で使われているか、どのような単語と相性がいいか、一般的によく使われるメジャーな単語かそうでないか、などの付随的な情報が得られる
*コロケーションを調べるにはアルクの頻度集計機能(有料)を利用するとさらに効果的(頻度集計機能については回を改めてご説明します)

- 検索作業を通じて英単語を何度も入力することで綴り(スペリング)になじむことができる

- 自分で主体的に検索することにより、与えられた例文ではなく自分に気に入った例文を見つけることが出来る。また、自分で探した例文なので愛着がわき印象に残りやすい

- 最近のニュースに関連付けて単語を覚えられる場合もある

- ネットサーフィンをしているような感覚で楽しく英単語に触れ合うことができる


ただし、この方法には1つ当たりの単語にかける時間が長くなるという特徴があるので、短期間で大量の単語を覚えたいという場合には向いていません。その場合は、特になじみのない単語やどうしても覚えられない単語だけに絞って実践してみて下さい。

もっとも、短期記憶で大量に覚えたものは定着率が悪く、しばらく時間が経つとほとんど記憶に残っていなかったり、記憶に残っていても思い出すのに時間がかかったりする可能性があります。

英単語を実践の場で自由に出し入れして使いこなすには、結局のところ長いスパンで地道に続けて行くのが最も有力なアプローチなのではないかと思います。



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ラベル:英語 英単語
posted by 薗田真澄 at 07:00| Comment(0) | ボキャビル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする