2015年06月01日

四字熟語と英会話表現

週末に小学生の娘と漢字の勉強をしました。私たち大人は自由自在に使いこなすことができる漢字も小学生にとっては難しいものです。今回は「実」という漢字を教えるため、ノートに「実」を使う熟語を書き出し、意味を解説して行きました。実行、実際、真実、事実、現実、実現、実物、誠実、確実・・・等々
子供は「なるほど」という顔をして解説を聞いていましたが、そのうちに親の方が得意になり、ついでに「実」の字を用いた四字熟語を教えてあげようと考えました。そこで、思いついた言葉が「質実剛健」でした。

しかし、いざ、この四字熟語の意味を簡潔に説明しようとすると、なかなかうまく表現できません。思わず、手元にあったスマホを片手に意味を検索する羽目になってしまいました。ちなみに、「質実剛健」を辞書で引くと:

「中身が充実して飾り気がなく、心身ともに強くたくましいさま」(新明解四字熟語辞典)

だそうです。

四字熟語というのは便利なもので、ある特定の状況や様子を簡潔に伝えるためにぴったりの表現です(逆に言えば、使い方を間違えると頓珍漢(トンチンカン)なやり取りになってしまう訳ですが)。私たちは、この四字熟語というものに対して、いちいちその意味を暗記しているのではなく、それが典型的に使用されるコンテクスト(文脈)の中で記憶しているのではないかと思います。

例えば、前出の「質実剛健」の例で言えば、私なら日本の侍を真っ先に思い浮かべます。そして、私が侍に対して持っているイメージ=無口だが志をしっかりと持ちそれを貫く人=すなわち、「質実剛健」となる訳です。
同様に、「傍若無人」と言えば、私なら電車の中で堂々としゃがみこむ若者を思い浮かべますし、「風光明媚」なら若い頃に見た旅先での素晴らしい景色を想像します。
このように言葉には、辞書で調べると説明されているような文字通りの「意味」だけでなく、その言葉が使われる(または、使われ易い)コンテクストがあるのだと分かります。

このことは、あなたの英会話の上達にとって大切なものを教えてくれます。つまり、英単語や決まった英語表現を覚えるのに、単に言葉の意味を暗記するだけでなく、それが使われそうな、または、過去に実際に使われた場面を想像しながら覚えて行くのです。

例えば、私は、英語の会議で何か提案して相手に動いてもらおうとする時は決まって"Why don't you 〜"という表現を使います。

Why don't you send us an email which will describe the detail for our better understanding?
(私たちがもっと理解できるように詳しい説明をメールで送ってもらえますか?)

私の中では、ある特定の状況の中でこの表現を使用するということが定着しているので、いろいろと考えなくても自動的に口をついて出てくるようになっています。そして、その時点ですでに”Why don’t you 〜”以降の「〜」の部分に何を入れるか考えているのです。

同じように、次の話題に移るときは、
Let's move on to the next topic / agenda …
(次の話題/議題に移りましょう。・・・)

何かを依頼して了承する時は、
OK. I'll do that. …
(分かりました・やっておきます。・・・)

このように、あなたが英会話にテンポよく乗るためのスキルの一つとして、コンテクストごとのお決まりのフレーズをあなたのアイテムの中に持っておく、というのがあることが分かるはずです。


@あなたの投票が投稿の励みになります。気に入ったらワンクリックお願いします。


英語 ブログランキングへ

Aご質問やお便りはサイドバーのメニューからお願いします。


posted by 薗田真澄 at 17:34| Comment(0) | 英会話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月26日

箸の使い方


いま私はパリに住んでいます。パリにはサンタンヌ通りという日本食屋さんが並ぶ場所があり、お寿司・ラーメン・カレーライスから、いわゆる日本風の中華料理や定食まで大抵のものはそうしたレストランで食べることができます。私の勤務場所はサンタンヌに近いので、よくそこまで歩いて行って昼食を食べます。お昼時にはどこも賑わっており、複数人で食べに行くときは少し早目に行かないと席が取れないくらいです。この辺りにはオペラ座やルーヴル美術館などがあるので観光地としても有名ですが、意外なことに、どこもお客さんの半数以上がフランス人です。そして、みんな箸の使い方が上手なこと。フランス人の親日ぶりを感じさせる一面です。

フランスでは子供を連れて外食することを頻繁にしませんので、彼らはみな、大人になってから箸の使い方を覚えたのでしょう。その使い方に多少ぎこちなさがありながらも、スプーンやフォークなどを使わずに器用に日本食を楽しむ姿は、生まれてすぐに親から箸の使い方を教わり、当たり前のように毎日箸を使う私たち日本人からはどのように見えるでしょうか。

彼らに対して「人差し指が浮いている」とか「正しい持ち方はこうだ」とかいちいち指摘して矯正することはしないと思います。もちろん、本人から教えてほしいと言われればそのようにすることもあるでしょう。しかし、箸を使うことの目的は、食べ物を口に入れるということであり、その目的が達成していればあまり細かいことは気にしなくてもよいのです。逆に、橋の正しい使い方に気を取られてばかりいたら、日本食を美味しく楽しむどころか、苦痛になってしまいます。

英会話も箸の使い方と似たようなところがあります。英文法を気にし過ぎたり、小慣れた言い回しを意識し過ぎたりして、コミュニケーションの中身がおろそかになっていませんか?英語を普通に話す相手から見れば、正しい英文法や気の利いた言い回しなどあまり気にしてはいないでしょう(はっきり言ってしまえば「興味がない」)。むしろ、話し相手があなたに求めているのは、話の中身だと思います。私の経験上から付け加えるならば、話のテンポは大切です。テンポの悪い話し方は、相手のスムーズな理解や思考を妨げるからです。

そうはいっても、会話として成立するためには最低限の英文法は必要です。よく英会話上達の指南書などで「中学から高校1年くらいのレベルを勉強すればよい」などと書かれているのはそういうことだと思います。
実際に外国人と話す機会を作って、より多くの実践を積み独特のテンポを体得し、そうして初めて状況に応じたニュアンスの違う伝え方や洗練された表現を少しずつ覚えて行くというのが自然なプロセスだと思います。



@あなたの投票が投稿の励みになります。気に入ったらワンクリックお願いします。


英語 ブログランキングへ

Aご質問やお便りはサイドバーのメニューからお願いします。


posted by 薗田真澄 at 16:47| Comment(0) | 英会話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月23日

ハードウェアとソフトウェア


あなたはこんな経験をしたことがありますか。

オンライン英会話で講師とフリートークをしようと思ったら5分と持たなかった。相手の言っていることがよく聞き取れないし、思ったように英語で話せない。時間が経つのがやけに遅く感じてレッスンが終わるのが待ち遠しかった。あのバツの悪さといったら・・・次回のレッスンの予約を入れるのが怖い。

そして、自分の英語力のなさを嘆き、しばらく英会話から遠ざかります。私もこのような経験を何度したことでしょうか・・・。

しかしよく考えてみて下さい。

あなたは本当に「英語力がない」のでしょうか?会話が続かなかったのは、「英語を聞き取れなかった」「英語を話せなかった」のが原因でしょうか。原因を分析することは大切なことです。お医者さんだって、患者の症状をみて病気の原因を特定できなければ、適切な処方箋は出せません。


この問題を、スマホとアプリの関係にたとえてみましょう。(スマホを使ったことがない人はDVDプレーヤーとDVDの関係を想像してみて下さい。)

スマホには電話・インターネット・音楽・ゲームなどに対応できるよう様々な機能が搭載されています。しかし、これらの機能を活用するには、アプリがインストールされている必要があります。逆に言えば、アプリがインストールされていなければ、どんな優秀な機能を備えていたスマホであろうとそれはただの物体に過ぎません。電話やインターネットのブラウザなど、スマホを購入した時に初めからインストールされているアプリもありますが、利用者自身がアプリをダウンロードしてスマホをカスタマイズしなければならないのです。

要するに、スマホの機械がハードウェア、アプリがソフトウェアということになります。英会話では、ハードウェアに相当するのがあなたの「聞き取り能力」や「会話能力」です。では、ソフトウェアに相当するものは何でしょうか。それは、会話の「トピック」や「内容」と言えるでしょう。であるとすれば、あなたが中身の薄い話を完璧な英文法で流暢にしゃべっても、英会話は長持ちしないでしょう。逆に、あなたの英文法がメチャクチャで、たどたどしい話し方であっても、その内容が興味深い話であれば相手は必死に聞き取ろうとしたり、質問をしたり、話題をふくらませたりするでしょう。


この話をしたのは、あなたに「もっと興味深い人になれ!」と言うためではありません。それはそれで必要なのかもしれませんが、ここで強調したいのは、英会話を訓練する上であなたが陥るスランプに対処するためには、スランプの原因をよく考えてみるべきだということです。


あなたの英会話の上達を阻む最大の敵は、「自分は英語ができない」「どうせ相手に伝わらない」などと自己暗示をかけてしまうことです。したがって、あなたの英語力が原因だと決めつけることは危険です。冒頭の例で言えば、相手の知りたがっていることは何かを想像しながら、ほんのちょっとの準備をすることで結果は変わったかもしれません。もうお分かりかも知れませんが、英会話の上達の秘訣の一つは、あなたが今までに国内で経験した対人スキルというものを総動員することなのです。



@あなたの投票が投稿の励みになります。


英語 ブログランキングへ

Aご質問やお便りはサイドバーのメニューからお願いします。

posted by 薗田真澄 at 18:20| Comment(0) | 英会話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする