2018年04月04日

リスニングの勉強で押さえたい6つのポイント〜VOA Learning Englishの教材を例に(1)



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英語のミーティングやニュース、または
テストなどでリスニングをしていて内容が理解できず、
最後まで聞き終わったのに

それで結局何が言いたかったの??

と、かなり消化不良な気分
になったことはありませんか。

リスニングは1回で(テストなら2〜3回で)
聞き取らなければならず、
リーディングのように
分からない部分を何度も読み返せません。

そう、リスニングは、
出たとこ勝負!!なんです。

では勝負強くなるためには??
 ・ボキャブラリーを増やすこと
 ・スピードになれること
 ・英文法をしっかりマスターすること
そんな当たり前のアドバイスはしません。

耳タコですよね 笑

実は、どんなに完ぺきでも
100パーセント聞き取れるわけじゃありません。

辞書なみのボキャブラリーがあっても
単語が雑音で聞き取れなかったら?

一つ一つの単語の音は聞き取れても
文章の意味が分からなかったら??

英文法をマスターしても
話す相手の英文法がめちゃくちゃだったら???

いじわるな質問に聞こえるかもしれませんが、
実践の場では日常茶飯事です。

現場で使えるリスニング力を身につけるには
他にも大事なことがあるんです!

ここでは、ワンランク上のリスニングを目指すあなたに
絶対に押さえたい6つのポイントを解説します。




ここからは、VOA Learning Englishの記事を例に挙げて説明します。
まずは一読してみてください。
New AI Technology Lets Students Evaluate Professors by ‘Chatting’


1.背景知識を読み取り早期に全体像を把握する


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artificial intelligence.jpg

正確なリスニングには、
早い段階での全体像の把握が大切です。

例えばVOAのような記事では
大抵、冒頭にヒントが隠されています。

冒頭の文章を見てみましょう。
"Artificial intelligence, or AI, has slowly begun to influence higher education around the world. Now, one new AI tool could change the way university students evaluate their professors.”



第1文では
人工知能教育に影響を与える」
というテーマが、

さらに第2文では
「AIツールが教員への評価方法を変えるかもしれない」
という内容が伝えられています。

「人工知能(AI)」
「教育(education)」
「教員を評価する(evaluate their professors)」

この3つのキーワードで、
この記事の全体像をつかみたいですね。
2つの大切なポイントをお伝えします。

(1) 情報のアンテナ

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ところで人工知能(AI)は、
今後の私たちの生活のあり方を
大きく変えるかもしれない物として、
テレビ・新聞・インターネットなどの
各種メディアで連日取り上げられている
ホットなトピック
ですよね。

実は、こうした最新のトピックに
積極的にアンテナを張ること
英語のリスニングの向上と
非常に関係が深いのです。

現に、この記事を読むにあたって、
AIについて何の知識も持たない人は、
普段からAIの議論に耳を傾けている人に比べて、
話の展開を追うことが難しいでしょう。

AIのような最近流行しているトピックについては、
日頃からアンテナを広げて知識を蓄えたいものです。

(2) 想像力

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次に、第1文で出てきた
「人工知能が教育に与える影響」
と聞いて何を連想しますか?

私なら、まずは、
 ・教師の代わりに人工知能が授業するのかな?
 ・学生の弱点を発見して個別指導するのかな?
などと考えます。

次に、最近流行しているAIスピーカーや、
無人自動車なども連想します。

さらに、最近のBBC 6 Minute Englishでも
話題に取り上げられたWoebot
AIを搭載したカウセリングツールでした。

このように
AIといえば○○
のように、
一つのテーマに瞬時に反応したり、
様々なことを連想したりできるようにして下さい。
話の次の展開に備えることができます。

すると、第2文で
「AIツールが教員への評価方法を変えるかもしれない」
という話が出た時点できっとひらめくでしょう。
「学生がAIとチャットしながら、
教員の評価したり印象を述べるような
システム開発の話が続くのかな」
推測がつくわけです。

このように、
あなたが持っている知識を総動員して
記事の背景を読み取る作業
はとても大切です。

話の全体像をつかむことで、
次の展開にもある程度予測ができるし、
テーマへの入り込み方が違ってきます。

もし、このような作業をしなければ、
次の文章に進んでも理解は表面的なものにとどまり、
単語一つ一つは聞き取れても
文章全体の意味が理解できない
といった事態が生じる恐れがあります。



2.テーマに関係する単語を引き出しに持っておく


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テーマと関係の深い単語の集まりを意識してください。

たとえば、AIというテーマについて
今回の記事から拾ってみると、
chatbot, chat window, data, collect,
analyze, run a program, organize data,
get smarter, flexible, accurate, correctly,
human-like, humor
などが関係の深い単語と言えるでしょう。

テーマと関わりある単語群を意識することで、
次にAIのテーマが話題に上ったときに
「あの単語やフレーズが出てくるかもしれないな」
と脳が無意識に反応します。

すると、耳から入る英語がスムーズになり、
多少の聞き落としも推測で補えるのです。

これは、単語を覚えるときと違って、
単語帳を作って繰り返し覚える
というようなものではなく、
経済、文化、環境、テクノロジー等々の
個別テーマで使われやすいフレーズ・単語は何か
ということに注意を向け、肌で感じ取るものです。

要するに、
@特定のテーマで使われる言葉の仲間を意識しながら
同じ素材を繰り返し聞く
A似たようなテーマの別の素材に出合ったら
また関連語句を意識しながら繰り返し聞く

このようなことをやっていくと、
なじみが出てきたテーマは別のテーマよりも
聞き取りやすく
なります。

一つのテーマの音声素材に出合ったら、
スクリプトを印刷するか、
パソコン上のメモ帳にコピー&ペーストし、
関連語句にマーカーを引くなどしてから
音読してみましょう。

口を動かすことにより、頭に残りやすくなるので
今度はスピーキングの場面でも
適切な英単語をストレスなく瞬時に選択できます。



3.英文独特の文型に慣れる


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耳に入ってきた英語が
直感的に理解しづらいことがありますよね。

例えば、今回取り上げた記事から、
以下の文章を読んでみてください。

"If students respond with no information, Hubert knows to try again by asking follow-up questions. For example, if a student responds with “no,” Hubert might ask, “Are you sure there is nothing that could be different?””


下線部分は、
授業の改善点を問うHubert(チャットボット)の質問に
Noとだけ回答する学生に対して、
「本当に何も要望はないのか」
と念押しをする際の質問です。

直訳すれば
「本当に違う可能性があるものがないですか?」
となりますが、これでは何を言っているか分かりません。

全体の流れに即して意訳すると
「本当に(授業のやり方を)変える必要がないのですね」
ぐらいの意味になります。

@これはnothingにぴったり当てはまる日本語がない
Adifferentは「違う、異なる」という定番の訳語がある
ために、直訳しただけでは頭に入ってこないのです。

このような文章に出くわしたときに
リーディングであれば何度も読み返し、
前後の文脈と照らし合わせることで
意味をつかむことができるかもしれません。

しかし、リスニングの場合は要注意です。
頭の中で意訳を考えてしまうと
その後の部分の聞き取りに支障が出ます。

このような英文独特の言い回しに瞬時に反応するには、
出合うたびにつぶしていく必要があります。

スクリプトで文章を再度確認し、
本来の意味や趣旨をきちんと理解
した上で、
何度もその部分を聞き返すよりほかにありません。

聞き流すだけでは絶対に身につかないので
注意してください。


(後半へ続く)


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2017年03月05日

リスニング勉強法 - CNN10(CNN Student News)編


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アメリカ英語でリスニングを鍛えたい人にはCNN10(旧CNN Student News)はかなりオススメです!

CNN10とはアメリカのテレビ放送局であるCNNがアメリカの学生(おもに高校生)向けに制作しているニュース番組です。オンデマンド型の番組なので、特定の時間にチャンネル放映されているわけではなく、視聴者が好きな時間にCNN10のサイトを訪問してニュースを見ることができます。無料のスマホアプリもあります。

学生向けとはいってもネイティブスピーカー向けに制作されているので、一般のニュース番組と比べても聞き取りのスピードは変わりません。しかし、今から紹介するような他の番組には見られない様々な特徴を備えているので、リスニング学習に最適と言えます。

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特徴1. 平日毎日更新!トピックも多彩なので飽きない


月〜金まで毎日10分間のニュース映像がサイトにアップされるため(ただし、アメリカの高校の夏休み期間中に相当する6〜8月は制作されない)、勉強の計画が立てやすいです。

たとえば、毎朝の通勤時間30分で3回繰り返して聞くとか、昼休みに毎日30分間みっちりスクリプトを確認しながら聞くなどの様々な場所でのスキマ時間を活用した勉強から、夜自宅で1日おきにみっちり1時間内容が完全に理解できるまで辞書を引きながら何回も繰り返し聞くといったどっしり腰を据えた勉強まで、目的に合わせたいろいろな利用法が考えられます。

10分間の構成は時事ネタから科学・テクノロジーや社会問題、インタビューまで多彩なトピックが扱われます。また1つのトピックは2〜3分程度の長さなので、最初から最後まですべてを聞く時間や余力がない人も、興味を引いたトピックを毎日1つだけ選んで集中的に聞くこともできます。



特徴2.スピードは速いがシンプルな内容で分かりやすい


アンカー(Carl Azuz)がニュース原稿を読む速さは、決してゆっくりではないがクリア。一方で、特派員によるレポートやドキュメンタリー映像、インタビューなどがビデオ・クリップで挿入され、日替わりで様々なスピードや発音の英語に触れることができる

学生向けとあってニュースの内容は基本的な事柄の説明が多く、子供にも分かるような解説が行われる場合もある。例えば、2017年3月2日付のCNN10でアメリカ中西部で発生した竜巻被害のニュースでは、竜巻がどのようにして発生するかの説明が行われていました。こうした説明は簡潔に述べられていることが多いため、英語を話す際の表現の面でも参考になります。



特徴3.Carl Azuzのユーモアとともに口語表現も学べる


残り1分から始まるten out of ten(10点満点)のコーナーでは面白ニュース映像が紹介される(最近では動物ネタが多い)。この1分間は、それまでのニュースとは少し異なり、スラングあり、アメリカン・ジョークありのくだけた感じで締めくくられます。いかにもアメリカ人っぽい陽気でストレートなタッチです。

Carl Azuz(CNN 10のアンカー)のプロフィールはこちら



特徴4.スクリプトが完全公開されている


トップページから見たい日付のページに移動すると、映像プレイヤーと一緒に全文スクリプトが掲載されています。さらに、パソコンなどの大きめの画面では、スクリプトを追ってスクロールしても映像がついてくる設計になっていて、映像の再生を妨げることなくスクリプトを確認できます。また、映像プレイヤー自体にも字幕を入れたり消したりする機能がついています。

英語学習者にとってスクリプトは必須なので、すべてのニュースにもれなくスクリプトがついてくるのは有難いですね。ただし、残念なことにスマホアプリにはスクリプトがついていないようです。



特徴5.極めつけはNHKのサイトで和訳が聞ける


スクリプトを見ても内容が理解できない場合には、NHK BSワールドウォッチングのサイトに行くと通訳者による日本語訳を確認することができます(こちらの方は1日遅れでアップされ、2か月後に削除される)。いやはや、何とも至れり尽くせりな感じです!!



●学習例


ご参考までに、どっしり腰を据えて勉強する場合の学習メニューの一例を考えてみました。

初心者向け60分コース
@スクリプトを印刷した後で、全文を声に出して読み意味を理解する。分からない単語があれば辞書で調べる(30分)
A英文の意味が理解できない個所に印をつけ、上記5.のNHKサイトの日本語訳を確認する(10分)
B英語の映像を再生する。この時スクリプトを見て内容を理解しながら聞く(10分)
C気に入った個所を1段落または2段落選び、音声を再生しながらオーバーラッピング、または、シャドウイングをする(5〜10分)(8分)
D同じ部分を暗唱してみる、または、書き出してみる(2分)


中級者向け30〜45分コース
@英語の映像を再生し、スクリプトを見ないで通しで聞いてみる(10分)
A内容がわからなかった部分をスクリプトで確認する。内容を理解するうえで必要な単語で知らなかったものをメモする(5〜10分)
Bスクリプトを読んでも意味が分からない個所に印を付け、NHKサイトの日本語訳を確認する(0〜10分)
CAの箇所を重点的にもう一度聞く(5分)
D気に入った個所を1段落または2段落選び、音声を再生しながらオーバーラッピング、または、シャドウイングをする(5〜10回)(8分)
E暗唱してみる、または、書き出してみる(2分)


リスニング力の強化訓練には音読シャドーイングを取り入れるのが効果的です。スクリプトのすべてを音読するのは骨が折れますので、音読する部分を自分で決めて重点的にやるようにしてください。それが長続きの秘訣です。



P.S.1
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2017年03月03日

英文読解スピードアップがリスニング力の強化へ



今回は、リスニング力アップとリーディング速度アップの関係について考え、リーディング練習の秘訣、読む速度を表す単位のWPMを紹介します。


■目次

1. 耳に入った英語が頭に響いてこない!!
2. リーディング速度の向上がカギ
3. 英文読解のスピード訓練をするときの注意点
4. 何をどのように目指したらよいか:指標としてのWPM
5. 実際にWPMを体感してみよう
6. WPMを指標にして当面の目標を決定する



耳に入った英語が頭に響いてこない!!




104 悩む女性.jpg

リスニングのスキルが伸びずに悩んでいる人は多いと思います。

そして悩めば悩むほど、ついつい「リスニング力を向上させる一番の近道は、ひたすら英語の音声を聞きまくって耳を鍛えることだ」と考えてしまいがちです。

確かに、あなたのリスニングを阻む原因が、音を正確に聞き取れていないことにあるならばそうした訓練は効果があるでしょう。

しかし、リスニング力が向上しない理由はそれだけではありません。原因はもっと根深いところにあるかもしれないのです!どういうことかと言うと、

文章として頭に入って来ない。音は聞き取れているのにチンプンカンプン。

という大変悩ましい事態が発生しているのです。





リーディング速度の向上がカギ




これはどういう現象かと言うと、

英語の発音は聞き取れているし、出てくる単語はほとんど知っているものばかりなのに、それらの単語どうしがつながらず、その結果、残念なことに文章全体の意味が理解できない

ということなのです。

この問題=お悩みを解決するためには、単に耳を慣れさせるだけではなく、頭の思考回路を英文処理用にカスタマイズする必要があります。もっと分かり易く具体的に言うと、

リーディングのスピードアップを目指す

ということです。





英文読解のスピード訓練をするときの注意点




102 英字新聞とNEWSの文字.jpg

リーディング速度を上げるための訓練法は、ズバリ単刀直入に、

より多くの英文を読むこと

ですが、これには2つの注意点があります。


@ 自分のレベルにあった教材を選ぶこと


分からない単語が多少あっても構いませんが、辞書を引かずに文章全体の意味が理解できるようなものを選んで読んでください。

極端な例になりますが、初心者がTimeやEconomistなどの一般のネイティブスピーカー向けの雑誌を読もうとしても難解な単語が続出する上に、文体や中身も難し過ぎるのでせっかく購読しても途中で投げ出すことになるのは必至です。そうではなくて、軽快なリズムで読み進められて、思わず次のページを見たくなるようなものがいいと思います。

おすすめの教材をピックアップしてみました。

グレイデッド・リーダーズ(ピアソン)
ピアソン(Pearson)から出ている「グレイデッド・リーダーズ」は7段階のレベルに分かれており、きっと自分の能力に適した教材を選ぶことができるはずです。
なお、各段階のレベルはこちらから確認できます。
7段階のレベルをチェックする

The Japan Times ST
物語ではなく、時事ネタでリーディングの場数を踏みたいという人には、ジャパンタイムズが英語学者向けに発行している「The Japan Times ST(ジャパンタイムズST)」がおすすめです。毎週金曜日発行で一部300円と有料ですが、我々日本人に馴染みの深いトピックについて比較的やさしめの英語で読むことができます。

Time For Kids
無料にこだわるなら、子供向けに発行されている英字新聞や雑誌のサイトを探してみてもよいでしょう。「Time For Kids」は適度なボリュームの記事が大量にアップされていて無料で読むことができます。


A 英語の語順通りに理解し、返り読みをしないこと


リーディングの速度を上げるには、無駄のない最短距離の方法で英文を理解するよう心掛けることが大切です。いちいち日本語の語順に直して理解しているようでは、スピードアップは望めません。英語らしく、英語の語順通りに理解するように意識して下さい。訓練法としては、以下の方法があります。自分のレベルに合わせてステップを踏んでスキルアップを目指しましょう。

i. スラッシュリーディング
英語の語順通りに理解するのを後押しする目的で、英語のまとまりごとにスラッシュ(斜めの区切り線)を入れて、そこまでで文章の一部を理解する読み方です。当然、文章の最初の時点では情報が不足しています。次のかたまりをまたスラッシュで区切って不足した情報を補っていきます。文書の最後(ピリオド)まで行った時に、すべての情報が集まり、文章の内容理解も同時に終わっていることになります。

例えば、次の文章でスラッシュリーディングをすると以下のようになります。
Trump administration official Sean Spicer said: "We'll look for a date to schedule something in the future.” And he added, “We will keep the lines of communication open."
出典元:2017年1月26日付のVOAニュース記事「Mexican President Cancels Meeting with Trump」

Trump administration official Sean Spicer said: /
トランプ政権の高官 ショーン・スパイサー氏は述べた/

"We'll look for a date /
「我々は日程を探すつもりである/

to schedule something in the future.” /
将来何がしかを予定するために」と。

最初の英文のかたまりだけを見ると、「何かを述べた」の「何か」の部分がまだ目に入ってきていないために、ちょっと気持ち悪い感じがするのですが、「何か」の部分は次に出てくるのだろうと予想して次を読みます。すると、引用符(ダブルクォーテーションマーク)があらわれて、話の内容が始まります。「我々は日程を探すつもりである」は一つの文章として完結していますが、これでは何のことかさっぱりわかりません。そこで、次に進むと何の日程かを説明する部分が続いている訳です。スラッシュリーディングは、実際に手を動かすことによって「英語の順番通りに読むのだ」という感覚を頭の中だけでなく体に覚えさせるという狙いがあります。


ii. 英文を声に出して読む(音読)
以前の投稿記事でも紹介した通り、音読をすると半強制的に返り読みが封じ込められます。初めはゆっくりとしたスピードで文章を噛みしめる感じで英語の語順を脳に染み込ませます。慣れてきたら徐々に音読するスピードを上げて行きます。
参考記事:英文を音読してますか?(2017年1月28日付投稿)


iii. オーバーラッピング
音声に合わせてスクリプトを読み上げます。音読は自分の意思で返り読みが可能ですが、オーバーラッピングは音声を止めない限り戻れません。その点で音読よりも返り読み防止の強制力が強く働きます。


iv. 英文の音声を聞きながら読む
自分の口が追いついて行かないほど早いスピードの音声を読むとき、または、読むことに集中したい時に行います。音声がいいペースメーカになってくれます。


v. 黙読
@〜Cの訓練を十分に積んでいくと、返り読みから解放された英語脳で黙読をすることができるようになっているはずです。





何をどのように目指したらよいか:指標としてのWPM




リーディングの速度を上げる訓練をする時には、ただやみくもに訓練するよりも、目標があったほうがやりがいも出ますよね。そこで、読む速さを数値化した

WPM(Words Per Minute)

という指標を使います。

WPMは1分間に何単語読めるか(または話せるか)ということを表す単位で、英文の単語数と読む(または話す)のに掛かった時間が分かれば小学生でも計算することができます。

WPM=単語数(words)÷かかった時間(秒)×60秒

単語数を数える場合に自分で数えても構いませんが、それが面倒な人はワードなどの編集ソフトの機能を使うか、以下のサイトを利用してみて下さい。
単語数カウントのサイトに行く

早見表も作ってみました(小数点以下は四捨五入しています)
↓↓↓
WPM早見表

一般に、ネイティブスピーカーが話すスピードは180〜200WPM、読むスピードは250〜300WPMと言われています。

また、日本の大学1年生の英語を読む平均的なスピードは約100WPM、TOEICのリーディング問題を制限時間内にすべて回答するためには170〜200WPM程度の速さで読む必要があるそうです。





実際にWPMを体感してみよう




では、WPMを感覚的に理解するために、実際の音声を聞いてみましょう。

@ VOA Learning English


ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が提供する英語学習者向けのニュース記事の音声は、初心者向けにかなりゆっくりとしたスピードで原稿が読まれます。例えば、2017年2月28日付の記事「East Asia Again Leads PISA Survey」は、715単語を6分30秒で読んでいますから、読むスピードはだいたい80〜90WPM(715 words÷510 秒×60秒=84.1…)となります。

80〜90WPMのスピードで読まれているVOAのニュース記事を見る


A CNN 10(旧CNN Student News)


おもにアメリカの高校生を対象とした10分間のニュース番組ですが、原稿を読むスピードという点では、普通のニュースと変わりありません。この番組では、アンカーが原稿を読み上げるだけでなく、途中で様々なビデオクリップが挿入されるため、異なる音声スピードを体感することが出来ます。

例えば、2017年3月1日付けのCNN10では、アメリカのトランプ大統領の議会演説の様子が放映されています。(2分20秒〜4分42秒)

演説なのでゆったりとした口調で話していますが、WPMはどのくらいでしょうか?
トランスクリプトで数えると、トランプ大統領はこの2分20秒〜4分42秒の142秒間に300単語を発しています。したがって話すスピードは約126WPM(300 words÷142秒×60秒=126.7…)となります。

2017年3月1日付けのCNN10を見る


一方、アンカーのカール・アズーズはどのくらいのスピードで原稿を読んでいるのでしょうか。2017年2月28日付けのCNN10をサンプルとしてデータを採取して見ましょう。

彼がいつも通りのスピードで話している2分11秒〜3分06秒を例に挙げると、この55秒間に165単語を話しています。したがって、その速度は約165WPM(165 words÷55秒×60秒)です。さすがに大統領の演説よりも速いですね。

でももっと速いのは、この後に挿入されているビデオクリップ(3分07秒〜4分48秒)です。このニューヨーク特派員からのレポートはネイティブスピーカーのナチュラルスピードに近い感じなのですが、この101秒間で347単語ですから、実に約206WPM(347 words÷101秒×60秒)に上ります。

2017年2月28日付けのCNN10を見る





WPMを指標にして当面の目標を決定する




様々なシチュエーションでどのくらいのスピードで英語が話されているかが体感できたところで、次は、あなた自身の当面の目標としてリスニング力をどこまで引き上げたいかを考えます。例えば、英語のニュースが聞き取れるようになりたいのなら、ナチュラルスピードよりやや遅めの150〜170WPM、映画やドラマの会話スピードについていきたいのなら180〜200WPMといった具合です。

目標が決まったら、そのスピードに対応できる英文読解スピードを身につけるため、上で述べた注意点(教材選び・脱返り読み)を守って、日々のリーディング練習に取り組みましょう。そして1週間に1回程度、読む速度を測ってみて下さい。目標が数値化されて明確になっていると、それに向かって努力しようという意欲が湧いてくるはずです。





P.S.1
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P.S.2
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posted by 薗田真澄 at 12:00| Comment(0) | リスニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする